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「Googleマップ」が独占禁止法違反の新たな調査対象となっている


今やさまざまなアプリやサービスで使われている地図アプリの「Googleマップ」について、新たにアメリカ司法省が独占禁止法違反の疑いで調査し始めたことが報じられました。Googleマップの独占禁止法違反については、「自動車メーカー向けの車載システム」と「開発者向けの要件」という2つの要素があるとのことです。

EXCLUSIVE-U.S. probe of Google Maps picks up speed -sources | Reuters
https://www.reuters.com/article/tech-antitrust-google-maps-idCNL2N2VQ2OT


Google’s next US antitrust issue: Google Maps | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/03/googles-next-us-antitrust-issue-google-maps/

ロイターは事情に詳しい人物からの情報として、アメリカ司法省が独占禁止法違反の疑いでGoogleマップの調査を始めたと報じています。今回の焦点となっているのは、「Googleマップを他のGoogle製サービスとバンドルすることが違法に競争を抑圧しているかどうか」だそうです。


司法省の調査は、Googleマップが採用する2つの戦略に関係しています。1つ目の要素は、Googleが自動車メーカー向けに提供するAndroidベースの車載インフォテインメントシステム「Android Automotive」において、Googleマップがその他のGoogle製サービスとバンドルされているという点です。Googleマップは車のナビとしても非常に人気が高いアプリですが、メーカーがAndroid AutomotiveにおいてGoogleマップを採用する場合、Google PlayやGoogleアシスタント、YouTube Music、その他のGoogle製自動車アプリの利用も要求されるとのこと。司法省は、Googleマップとその他のアプリをバンドルする仕組みが不当に競争を抑圧するのではないかと疑っています。

ロイターの情報筋は、自動車メーカーはGoogleマップと「Google以外の小規模なライバルが開発した音声アシスタント」を混在させることが妨げられていると述べています。一方でGoogleはロイターに対し、Googleマップとその他Google製アプリのバンドルは最高のユーザーエクスペリエンスを提供するためであり、場合によってはライバルの音声アシスタントをGoogleマップと一緒に機能させることも可能だと主張しています。


2つ目の要素は、Googleがアプリやウェブサイトの開発者に対し、Googleマップのデータを使用する際の制限を設けているという点です。Googleマッププラットフォームの利用規約にある「3.2.3 Restrictions Against Misusing the Services(3.2.3 サービスの不正使用に対する制限)」という条項を見ると、開発者は「Googleと競合する製品においてGoogleマップの機能を使用することが許可されていない」と定められています。

つまり、Googleマップのデータを利用してナビゲーションサービスを作成したり、Googleマップを音声合成サービスと組み合わせたり、GoogleマップのAPIを車載システムで使ったりすることは、いずれもGoogle製品と競合するために許可されないというわけです。また、Googleマップのデータを他のマッピングサービスと組み合わせることも許可されておらず、Googleマップのストリートビュー画像と他のマッピングサービスの地図情報を重ねて表示したり、Googleマップのコンテンツをその他のマッピングサービスのコンテンツにリンクしたりすることはできません。アメリカ議会の反トラスト小委員会は2020年に発行したレポートの中で、Googleが開発者に対して「Googleのすべてのマッピングサービスを使用するか、全く使用しないかの選択を迫っている」と指摘しています。

Googleはロイターに対し、Googleマップのデータを他のマッピングサービスと組み合わせるとエラーにつながる可能性があり、Googleマップのポリシーはエクスペリエンスの悪化を防ぐことを目的としたものだと主張。また、ポリシーは「Googleが他社のどのようにデータを利用できるのか」についてパートナー企業が課す制限にも影響を受けているほか、Googleマップに加えて他のマッピングサービスも使用できる例外もあると付け加えています。

しかし、匿名を条件にロイターへ証言した2人の開発者は、Google製サービスのデータと他のマッピングプロバイダーのデータを組み合わせたところ、Googleから違反通知を受け取ったと主張しています。開発者らは、競合するマッピングサービスは場合によってはGoogleより安価であったり、詳細な情報が載っていたりすると述べました。


ロイターは、「製品をバンドルすることは必ずしも違法ではありませんが、そのようなバンドルが消費者に利益をもたらさない場合、独占禁止法の執行官が介入します」と述べています。なお、ロイターの情報筋によると、記事作成時点ではGoogleマップを調査している司法省の調査官が、独占禁止法違反の訴訟を推奨している兆候はないとのことです。

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in ネットサービス,   乗り物, Posted by log1h_ik

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