ソフトバンク傘下の半導体企業「Arm」が従業員の15%をリストラ
モバイル端末向けSoCのアーキテクチャ設計などで知られるイギリスのテクノロジー企業・Armが従業員の15%に当たる約1000人のリストラを計画していることが報じられています。
British tech champion Arm to slash hundreds of jobs
https://www.telegraph.co.uk/business/2022/03/14/british-tech-champion-arm-slash-hundreds-jobs/
Armは数多くのAndroidスマートフォンやシングルボードコンピュータなどのプロセッサに採用されている「Armアーキテクチャ」の開発企業で、記事作成時点ではソフトバンクグループの傘下に収まっています。
2020年7月にはソフトバンクグループがArmの売却を検討していることが報じられ、8月にはGPUの開発企業として知られるNVIDIAと売却に関する協議を進めていることが判明。そして2020年9月には両者が約4兆2000億円でArmの取引を成立させたことを発表していました。
しかし、NVIDIAによるArm買収を巡っては「NVIDIAによる技術独占が可能となる」「イギリス本社の運営継続や従業員の雇用維持が不透明」といった理由から数多くの否定的意見が集まり、イギリス政府が2021年4月に「国家安全保障上の懸念」を理由に介入。2021年12月に入りアメリカの連邦取引委員会が買収差し止めの訴えを起こすなど買収取引は難航していました。
NVIDIAによるArm買収差し止めを連邦取引委員会が求め提訴 - GIGAZINE
その後、2022年1月にはNVIDIAがArmの買収を断念し、ソフトバンクグループもArmの新規株式公開(IPO)に向けて方針を転換したと報じられました。
NVIDIAによるソフトバンク傘下の半導体企業Arm買収話がなくなる可能性浮上 - GIGAZINE
そして2022年3月14日、イギリスの大手メディア・Telegraphが「Armのレネ・ハースCEOが従業員に対して人員整理を通達した」と報じました。報道によると、人員整理はイギリスとアメリカの事業拠点を対象に行われ、全世界の従業員数の12~15%が影響を受けるとのこと。同社はイギリス人従業員3500人を含む6400人の従業員を擁していることから、最大で1000人がリストラの対象になるとTelegraphは指摘しました。
Armの広報担当者は人員整理について「Armは他の多くの企業と同様に事業計画を継続的に見直し、機会とコストのバランスを適切に保っています。残念ながら、このプロセスには全世界の従業員を対象とした人員削減案も含まれます」と述べ、人員整理計画の存在を認めています。
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