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なぜベラルーシはロシアの味方をしているのか?

by Prachatai

ロシアは隣国のウクライナに侵攻していますが、2国と接する位置にベラルーシという国家が存在し、ロシアに協力的であることから、欧州連合のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ政権を「この戦争のもう一つの侵略者」と評しています。なぜベラルーシがロシアに加担しているのか、サウスフロリダ大学・ロシア研究所の研究員であるタチアナ・クラケビッチ客員教授が解説しました。

3 reasons Belarus is helping Russia wage war against Ukraine
https://theconversation.com/3-reasons-belarus-is-helping-russia-wage-war-against-ukraine-177984

ベラルーシの位置はここ。ロシアの西、ウクライナの北に位置しています。


ソビエト連邦の構成国家として位置づけられてきたベラルーシは1991年のソ連崩壊によって独立を果たし、1994年から28年にわたってルカシェンコ氏が政権を握っています。ルカシェンコ氏は東西の均衡を巧みに操り中立を保ってきたとのことですが、クラケビッチ氏は「2020年にターニングポイントを迎えた」と説明します。


ルカシェンコ氏は2020年8月9日に行われた大統領選挙で80%の得票率を獲得し、圧倒的大差を付けて6期目の任期を獲得しました。このことが一部で「不正選挙だ」と見なされ、国内で数十万人が抗議行動を実施したことにより、治安部隊が放水や催涙弾で応酬する事態となっていました。

このとき、ウラジーミル・プーチン大統領はルカシェンコ氏に財政的および軍事的支援を提供し、ベラルーシの問題に干渉しないよう外国勢力に警告しました。クラケビッチ氏は「このとき以来ベラルーシはロシアとの関係を強めた」と述べています。

ベラルーシは2020年以来軍事同盟を強化しており、2021年にはロシアから航空機や防空システムなどの軍事装備をロシアから受け取ることを発表しました。また、ベラルーシはロシアのウクライナ侵攻に先立ち、2022年2月10日にロシアとの合同軍事演習を行っています。このとき、ベラルーシは一部のロシア軍が国に残ることを発表しており、最終的に約3万人のロシア軍がベラルーシに滞在し、そのままウクライナに侵攻したとされています。

また、ベラルーシでは2022年2月27日に行われた国民投票で、国の非核的地位を放棄する新しい憲法が承認されました。これにより、ロシアの核弾頭がベラルーシに配備される可能性も懸念されています。


クラケビッチ氏によると、ベラルーシの人権状況は2020年以来急激に悪化しており、推定10~20万人がベラルーシを離れ、近隣のEU諸国とウクライナに移住したとのこと。国民は迫害や逮捕を恐れて、政府の決定について自由に意見を述べることがますます困難になっているとクラケビッチ氏は説明します。「ロシアがベラルーシを支援していること」「戦略地政学的にベラルーシがロシアにとって重要な位置付けにあること」「ベラルーシの国民がルカシェンコ氏について自由に意見できないこと」の3つの観点から、ベラルーシはロシアに加担しているとクラケビッチ氏は述べました。

クラケビッチ氏は「世論の沈黙は、プーチンが政治的および軍事的利益のためにベラルーシを利用する口実を与えることになります。ベラルーシ人は、ルカシェンコがプーチンの命令に従うのを止めることはできません」と話しました。

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in Posted by log1p_kr

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