メモ

ウクライナ侵攻のロシアが使っている「偽旗作戦」とは?


2022年2月24日に始まったロシアのウクライナへの攻撃は、ウクライナのテロ攻撃、民間人への攻撃、ロシアの軍事介入により一方的に独立を宣言したウクライナ東部のドネツク人民共和国およびルガンスク人民共和国、いわゆる自称の離脱共和国に対する軍事攻撃に関する虚偽の主張を展開する、ロシアの周到な「偽旗作戦」の後に開始されたと、海外メディアのThe Conversationが解説しています。

What are false flag attacks – and did Russia stage any to claim justification for invading Ukraine?
https://theconversation.com/what-are-false-flag-attacks-and-did-russia-stage-any-to-claim-justification-for-invading-ukraine-177879

偽旗作戦とは、テロ行為や敵国の武力攻撃が行われたという偽の情報を国内に流し、戦争を誘発するといった作戦のことを指し、ロシアでは偽旗作戦に関係しているとされる偽情報がいくつか拡散されています。2月18日にはロシアのメディアが「ウクライナの妨害工作員グループがロシアのアンモニア貯蔵施設を爆破しようとしたが、ロシア人民兵がそれを阻止した」というニュースを発表しましたが、これとほぼ同時に親ロシア派のドネツク人民共和国の報道機関を名乗る組織から「妨害工作員から回収した攻撃の際の動画」が公開されました。しかし動画のメタデータが調査された結果、撮影日が攻撃以前のものであることや、音声ファイルが合成されていることが確認され、動画が偽物である可能性が多く指摘されています。

以下が、偽旗作戦によるものとされる動画です。再生すると銃撃戦の模様が音声とともに流れるので注意してください。


また、同日にはウクライナ・ドネツク中心部の政府庁舎前で、分離主義派の警察官が所有する無人の車が爆破されたというニュースも報じられましたが、分離主義派により車が事前に別のものにすり替えられていたとの指摘も行われています。このことについて、アメリカ国務省の担当者が「この事件の背後にはロシアがいる」と非難しています。

過去数週間にわたり、アメリカ当局は複数回にわたりロシアが偽旗作戦を企てていることを積極的に公表することで偽旗作戦の存在を広く知らしめ、人々の感情を抑えて作戦を弱体化させようと試みてきました。しかし、The Conversationは「偽旗作戦はもはやかつてのものとは違う」と指摘します。


少数のジャーナリストとアメリカ軍から得られるわずかな情報のみが広まっていたイラク戦争とは異なり、ロシアのウクライナ侵攻ではほとんどの国民がポケットの中の端末で写真や動画を撮影し、世界中に公開します。公開された情報は多数の人々によって情報が精査され、どれが真実なのか見極められます。このような公開情報を基とする情報精査はオープン・ソース・インテリジェンス(OSINT)と呼ばれます。OSINTが行われることで情報が真実なのかどうかが明らかになるものの、「偽旗作戦が展開されている」という情報が広まることこそが、偽旗作戦の成功事例だとThe Conversationは指摘しています。

ただし、「偽旗作戦が実行されているのでは」という不信感は、偽旗作戦を実行している指導者への不信にもつながります。The Conversationは「今日行われる偽旗作戦は、攻撃者とされる対象への怒りを十分に引き起こすことができないだけでなく、偽旗作戦で利益を得る対象への疑惑を募らせることになります」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「ロシアがウクライナ侵攻のために衛星を攻撃する可能性がある」とアメリカ国家偵察局の長官が警告 - GIGAZINE

ロシアのウクライナ侵攻に関する現地からのツイートを地図上に表示する「Russia-Ukraine Monitor Map」 - GIGAZINE

ウクライナ政府サイトにDDoS攻撃、さらに数百台のウクライナのマシンにデータ削除を行う新しいマルウェアを発見 - GIGAZINE

Twitterがロシアのウクライナ侵攻の写真や動画を伝えるアカウントを次々と停止 - GIGAZINE

in メモ,   動画, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.