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食料品・日用品の高速配達サービスの激しい戦いで1回の注文ごとに平均2300円の赤字


食料品や日用雑貨を短時間で配達してくれるサービスがあちこちで展開されています。中には待ち時間が1時間を切るようなものもあるのですが、その裏で、経費がかさんでもうけを圧迫するどころか吹き飛ばし、1回の注文あたり平均して2300円の赤字が出ていることが報じられています。

Losses Mount for Startups Racing to Deliver Groceries Fast and Cheap - WSJ
https://www.wsj.com/articles/losses-mount-for-startups-racing-to-deliver-groceries-fast-and-cheap-11643544004

商品を消費者の手元に素早く届ける「高速配達ビジネス」は1990年代から何度も注目を集める分野で、1990年代から2000年代にかけてのITバブル期には「Kozmo.com」や「Urbanfetch」が一時代を築きました。Kozmo.comは2000年に2億円以上の調達に成功し、アイスクリームやDVDなどを1時間で配達していました。しかし、人件費や広告費がかさみ、2001年に事業を停止。Urbanfetchも同様に2000年に事業を停止しています。

この流れが2020年代に入って、再び起きようとしています。ニューヨークではドイツ発の「Gorillas」をはじめ少なくとも6社が競う中に、サンフランシスコを本拠とするフードデリバリーサービス「DoorDash」も参戦し、大変な状況になっているとのこと。


戦いの渦中にあるスタートアップの1つ「Fridge No More」の場合、2021年9月の平均注文額は33ドル(約3800円)。しかし、ここからそもそもの商品代や梱包代、人件費、廃棄費、保管費などを差し引くと、広告費を考えないとしても1回で3.3ドル(約380円)の赤字が出るとのこと。顧客獲得のため70ドル(約8100円)の広告を出したところ、顧客1人当たり78ドル(約9000円)の赤字になったそうです。

この状況は他の会社も大きくは変わらず、広告費を考慮すると、1回の注文で平均20ドル(約2300円)の赤字が出ているとのことです。


しかし、1990年代から何度も注目される分野となっているように、食料品・日用品配達は巨大ビジネスであり、市場を1社か2社で支配できる状況が作れれば黒字化する見込み。この分野のスタートアップへの投資額は、2020年以降、55億ドル(約6400億円)以上です。

もちろん、大手も目をつける分野なのですが、配送時間が悪化するなどの事情ですでに撤退済みか、サービス形態を変更済みだとのこと。たとえば、eBayの当日配送サービスは2015年に終了。Amazonは2014年に「注文から1時間以内の配達」サービスをニューヨークで開始しましたが、35ドル(約4000円)以下の注文の場合、9.99ドル(約1150円)の手数料がかかります。

また、取り扱う品の内容も変化しており、すぐ腐る生鮮品を避け、加工済み食品を扱うサービスが増えているとのこと。すでに4社で、傷みが早いバナナの取り扱いが中止になっています。


Wall Street Journalによると、Kozmo.comの創業者であるジョセフ・パーク氏は「15分で配達するのは1時間で配達するより難しいことですが、ビジネスモデルとしては十分に通用すると思います。(Kozmoを展開していたころと比べて)技術革新もありましたし、容易ではなくても、絶対に可能なビジネスだと思います」と語ったとのこと。一方、Kozmo.comの共同創業者のYong Kang氏は「収益化は難しいと思います」と、あまり楽観的には見ていないとのことです。

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in ネットサービス,   , Posted by logc_nt

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