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Amazonがネット上のヤミ市のようになってきているという指摘


オンライン書店サービスとして生まれたAmazon.comは、オンラインショップにとどまらない拡大を続けています。一方で、その主要事業の1つであるネットショッピングの部分で、目当ての商品がうまくみつからなかったり、目当ての商品だと思ったらどこのブランドのものかわからない低品質な品だったりと、ヤミ市じみた状態になってきていることが指摘されています。

Why Does It Feel Like Amazon Is Making Itself Worse?
https://nymag.com/intelligencer/2023/01/why-does-it-feel-like-amazon-is-making-itself-worse.html


「Amazonでの買い物体験がそこまで素晴らしいものでなくなってきている」ということは、2022年11月に日刊紙のワシントン・ポストも指摘しています。

Amazonでの買い物体験は悪化し続けていて全てが広告と化しつつある - GIGAZINE


また、経済紙のThe Wall Street JournalはAmazonの顧客満足度が低下してきていることを報じています。かつて88%を誇った値は、2022年は79%に低下。パンデミック中の2020年には65%に低下していたことを考えると数字を戻したといえますが、2020年を除外すれば右肩下がりだとのこと。その理由は、1つはパンデミックによる配送問題ですが、他は検索結果の低品質化、扱う製品自体の低品質化などが挙げられています。

Amazon’s Customer Satisfaction Slips With Shoppers - WSJ
https://www.wsj.com/articles/amazons-customer-satisfaction-slips-with-shoppers-11668986981

ただ、Amazonで販売されている製品は、その大多数がAmazon自体によって販売されているわけではなく、いずれかのサードパーティ小売業者によって販売されているものだと情報サイト・New York Magazineは指摘しています。

Amazonで製品を販売するには、標準的な手数料を支払って出品するという方法が入口ですが、小売業者として成功するためには、Amazon Primeサービスの対象にしてもらうため、さらなる追加の手数料を支払ってAmazonの倉庫に商品を保管してもらう必要があります。そして、同じように考える小売業者が多数いるため、Amazonで自分の製品を買ってもらうために広告に多額の資金を投入する必要があります。


つまり、サードパーティの小売業者は、Amazonのためにモノを売っている状態だといえます。業者は手数料を払って、ネット最大の販売チャネルへの道を手に入れ、市場調査を行って、お互いに価格を下げるよう圧力をかけあうことになります。しかし、小売業者が成功を収めようと失敗しようと、Amazonは利益を得られるという仕組みです。2020年の時点で、Amazonの取引のうち50%を中国のサードパーティ小売業者が占める状態になっているとのこと。

New York Magazineは「Amazonがストアではなく巨大インフラ企業を志向しているのであれば、他人の買い物の品質はどうでもいい問題で、ヤミ市化は理にかなっています」と述べています。

Amazonが支配しようとしているのはオンライン通販ではなく商取引全体のインフラである - GIGAZINE


なお、小売業者がどうなってもAmazonは利益を得られるという魔法のような仕組みをもってしても、Amazonの展望はあまり明るいものではなくなってきているとNew York Magazineは述べています。これまでAmazonで使われてきた「人気ブランドの商品の代わりに安価なストアブランド商品を販売する」という鉄板技が通用しなくなってきているというのが1つで、このほかにパンデミックの影響で「買い物習慣」そのものが終わってしまったという見方もあるとのこと。

2023年に入って、過去最大規模となる1万8000人以上の人員整理を始めたAmazonは、これからどのように振る舞っていくのでしょうか。

Amazonが史上最多の1万8000人以上の解雇を開始、主に小売部門と人事部門に影響 - GIGAZINE

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in ネットサービス, Posted by logc_nt

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