株や金よりもうかる投資は「レゴ投資」平均利回りはなんと年率11%
「子どものころレゴで遊んだけど、いつの間にか遊ばなくなり捨てられてしまった」という記憶がある人は多いはず。一般に子ども向けのおもちゃと見なされることが多いレゴ、特に映画やキャラクターとタイアップして製造されたレゴセットの未開封品は、実は株や債券といった資産より優秀な投資先になるとの研究結果が報告されました。
LEGO: THE TOY OF SMART INVESTORS - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0275531921001604
Collectible LEGO sets have an 11% annual yield. They're a better investment than stocks, gold, or art
https://www.zmescience.com/science/news-science/lego-sets-better-investment-stocks-523/
ワインやクラシックカー、美術品などの収集品は、株価が暴落するような経済危機が起きても価値が落ちにくく、むしろ時間の経過とともに値上がりしていくので、投資家の間で人気の資産です。しかし、伝統的な収集品は広く研究されている一方で、生産が中止されたモデルカーやバービー人形といったおもちゃは、これまであまり研究が進んでいませんでした。
そこで、ロシア国立研究大学経済高等学院のVictoria Dobrynskaya氏とJulia Kishilova氏は、1987年から2015年の間に発売されたレゴセット2322点の発売当時の価格と、未開封のセットがオークションで落札された際の金額を比較して分析する研究を行いました。その結果、レゴの価格変動は年率マイナス50%からプラス600%までばらつきがあったものの、平均利回りは年11%で、一般的な株取引や金投資を上回る利益を上げていたことが判明しました。分析対象になったセットの中には、8年間のリターンが2230%と、価格が20倍以上にまで急騰した例もあったとのことです。
利回りが高いレゴセットの傾向は、ピース数が少ない小型セットと、逆にピース数が多い大型セットでした。小型のセットには他のセットにはないユニークなパーツやフィギュアが入っている可能性が高く、大型のセットは生産数が少なく大人のコレクターの間で人気なのが理由です。
また、映画や書籍、歴史的な出来事など特定のテーマにちなんで作られたセットは高額になることが多く、例えば映画「スターウォーズ」シリーズのセットである「デス・スター2」「インペリアル スターデストロイヤー」などは特に人気だったほか、街のカフェをイメージした「カフェコーナー」やインドにある世界遺産を模した「タージマハル」も高額になる傾向がありました。
「スターウォーズ」のレゴセットの中でも、ピース数がレゴ史上最多だという「ミレニアム・ファルコン」は、2007年に400ドル(当時のレート約4万2000円)で発売されたものが、2014年には未開封品がオークションで1万5000ドル(当時のレートで約151万円)で落札されたとのこと。
by Bill Toenjes
レゴを投資先として見る場合、未開封できれいな状態を保つことがポイントになります。ネットオークションサイト・Catawikiの競売人であるGerben van IJken氏も、「コレクション用のおもちゃは、一度開封すると自動的に価値が25%以上落ちてしまいます」と話しています。
景気の動向や株の値動きに価格が連動しないレゴは、値崩れしにくいので金融市場の変動に対するリスクヘッジとして機能します。美術品や骨とう品も同じ性質を持つ資産ですが、レゴセットは単価が安いので参入障壁が低いのが特徴です。ただし、ハードルが低い分粘り強さが必要で、利回りがプラスになるには製造中止から少なくとも最低3年は待つ必要があるとのこと。また、保管場所や送料の関係で、株や債権よりも取引コストが高くつきます。
論文の筆頭著者であるDobrynskaya氏は、今回の研究結果について「レゴに投資するなら、開封されていないセット、特に限定版や古い希少なセットを探すことで高いリターンが得られます。特に、20~30年前に作られたセットはレゴファンにとって懐かしいものなので、高値で取引されます。しかし、すべてのセットが同じように値上がりするとは限らないため、レゴセットの目利きをするには真のレゴファンになるしかないでしょう」とコメントしました。
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