チーズを担保とするローンがイタリアにはある
by Darren Cowley
銀行からお金を借りる際に、株式や不動産を担保とするのではなく、「チーズ」を担保とするローンがイタリアには存在します。一体どういうことなのか?と思ってしまう特殊な仕組みがYouTubeのムービーで公開されています。
Banking on Cheese: The Bank That Uses Parmesan as Collateral - YouTube
チーズの製造者にはローンが必要です。
なぜなら小屋を建て、トラクターを買い……
牛を育てるための大量の飼料も必要になるため。
そこで、チーズの国イタリアでは、「チーズを担保にお金を貸してもらえる」という特殊なローンが作られています。
この物語は、3人の男と、何百万ドルもの価値があるチーズを巡る話。
まず登場したのは、チーズを製造するマウロ・ロッシさん。
イタリアのエミリアーノという場所で、チーズの王様「パルミジャーノ・レッジャーノ」を製造しています。
製造現場では1日60ホイールのチーズが作られているとのこと。
年換算すると、1年に2万ホイールものチーズが作られているそうです。
カードがホエイと分離させられているところ。GIGAZINEでもチーズ作りはやってみましたが、まったく規模が違います。
巨大な棚にずらりと並べられたチーズは圧巻。
このような大規模なチーズ作りを行うにはローンが必要。ということで、マウロさんのようなチーズ製造者は「CREDITO EMILIANO」というイタリアの大手銀行に向かいます。
一般的なローンと同じく、チーズ製造者のローンにも担保が必要。ローンの担保として株式や不動産が利用されることが多いのですが、マウロさんの場合、担保になるのはチーズそのものです。
CREDITO EMILIANOで働く銀行員の1人がファウスト・フィリッピさん。
CREDITO EMILIANOは一般的な銀行業務も行いますが、パルメジャーノ・レッジャーノの製造者をサポートすることに力を入れている銀行でもあります。
パルメジャーノ・レッジャーノは18~36カ月間の熟成期間を必要とし……
1つのホイールが数千ドルの価値になるという、特別なチーズです。
パルメジャーノ・レッジャーノそのものを担保とするプログラムが作られたのは、パルメジャーノ・レッジャーノが地域特有のものであり、代表的な製品であるためだとのこと。
とは言っても、銀行が保管庫の現金や金の隣にチーズを保管しているわけではありません。何千ものチーズで埋め尽くされた特別な倉庫が作られているのです。
ここで登場するのが、ロベルト・フリニャニさん。フリニャニさんはタリアテ・ジェネラル倉庫の代表者です。
CREDITO EMILIANOは各チーズ製造者の担保とされたチーズをこの倉庫に預けるというわけ。
「私たちはクライアントを代表してチーズを管理しているのです」とフリニャニさん。
フリニャニさんらが管理するチーズの数はおよそ30万ホイール、額にすると200億円近くにも上ります。
基本的にチーズは特別なケアをしなくても価値が下がるものではないのですが、「私たちは、牛から銀行まで、製造者たちの投資を守っています」とフリニャニさんは語りました。
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