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テニス王者ノバク・ジョコビッチ選手のPCR検査をリバースエンジニアリング集団が調査して判明した事実とは?

by mirsasha

男子テニスの世界ランク1位を記録するノバク・ジョコビッチ選手は、2022年1月5日に全豪オープンに出場するためメルボルンの空港に到着しましたが、新型コロナウイルスのワクチン接種をめぐりオーストラリアへの入国を拒否されました。なぜこのような事態が起こったのかという技術的な理由について、リバースエンジニアリング集団のzerforschungがドイツのニュースメディア・DER SPIEGELと調査した結果を公開しています。

Die zeitreisenden PCR-Tests des Novak Đoković - zerforschung
https://zerforschung.org/posts/djokovic-pcr-test/

多くの国で新型コロナウイルスのワクチン接種が海外渡航の条件となっていますが、一部の国では感染後に回復したことを証明すればワクチン接種が免除されることがあります。ジョコビッチ選手もこのケースに該当するとされ、ビクトリア州政府からワクチン接種免除を認められたことを受けて大会への出場を決めたとのこと。


ジョコビッチ選手は2021年12月に新型コロナウイルスに感染し、12月16日のPCR検査で一度陽性が示されたものの、その後22日のPCR検査で陰性が示されたとしています。しかし、空港でワクチン免除の書類不備を理由にオーストラリア当局に入国を拒否され、メルボルンの隔離ホテルへ移送されることに。これに対し弁護団が訴えを裁判所に起こしたところ、1月10日、オーストラリアの裁判所はジョコビッチ選手の入国を認めるよう命じたという流れです。

これについてzerforschungが公開した調査結果は以下の通り。

まずジョコビッチ選手の母国であるセルビアでは、PCRテストの結果が「中央テスト結果レジストリ」という場所で保管されます。PCR検査後に検査者はQRコードがついた紙の証明書を配布され、このQRコードを読み込むと、テスト結果が示されたウェブページが表示される仕組みです。


ウェブページの内容は紙の証明書の一部となっており、検査者の名前・テスト結果・検査番号のみが示されています。このため、ウェブページから「いつ検査を受けたのか」ということを知ることはできません。


そこでzerforschungはウェブページのURLに注目。するとURLには「Unixタイムスタンプ」が含まれることを発見しました。Unixタイムスタンプは、1970年1月1日午前0時0分0秒からの経過秒数を表します。例えばURLに1640187792というタイムスタンプが入っていた場合、実際の日時に直すと2021年12月22日16時43分12秒ということになります。


ジョコビッチ選手が「2021年12月16日にPCR検査を受けた」とする裁判所文書には、「1640524880」というタイムスタンプがついたURLが含まれました。しかし、これを実際の時間に直すと12月26日になるとのこと。


また、テスト結果を示すウェブページには「確認コード」というものがありました。zerforschungがセルビアでPCR検査を受けた他の人から入手した確認コードを見たところ、コードの最初の部分は昇順の検査IDであり、セルビア国内におけるPCR検査の順番とおおむね一致することがわかったとのこと。

これを前提にジョコビッチ選手の確認コードに注目すると、陽性を示した12月16日のテストIDである「7371999」が、陰性を示す12月22日のテストID「7320919」よりも大きくなっており、時系列が矛盾していることが判明。「時間的に前に行われた検査が、後でシステムに入力されたように見える」とzerforschungは述べています。

加えて、Our World in Dataのデータを見ると、12月16日から22日までの間で7万5000人がワクチン接種しましたが、16日と22日付けのジョコビッチ選手のテストIDの番号差からは、5万人しか接種していないことが示されているとzerforschungは指摘。


Our World in Dataでの期間指定を仮に12月22日から26日とすると、期間内に5万人がワクチン接種を受けたことが示されることについても、zerforschungは言及しました。


なお、ジョコビッチ選手は陽性の検査結果を受けた翌日である17日に若年のテニス選手と接触するイベントに参加していたことが判明しているほか、入国書類で虚偽申告をしたことでも、調査対象となっています

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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