2021年01月18日 11時43分ソフトウェア

TikTokが「リバースエンジニアリングされたAndroidアプリのソースコード」の削除をGitHubに申請

世界中で大きな人気を誇るショートムービー共有SNS・TikTokのソースコードがGitHub上に公開されていたことを受け、TikTokがデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく削除申請を行い、該当するソースコードの削除が行われました。

Process DMCA request · github/dmca@badc3e2 · GitHub
https://github.com/github/dmca/commit/badc3e20381b7bcf3743726a2d4ab48a8890025f

TikTok Using DMCA to Take Down Reverse-Engineered Source Code * TorrentFreak
https://torrentfreak.com/tiktok-using-dmca-to-take-down-reverse-engineered-source-code-210117/

TikTokは若者世代を中心に強い人気を集めるSNSであり、2021年1月に企業の広告戦略をサポートするWallaroo Mediaが発表したレポートによると世界150カ国で26億回以上もダウンロードされ、月間アクティブユーザー数は10億人を超えているとのこと。また、ユーザーは平均で1日あたり8回ほどTikTokを開き、52分をTikTokに費やしているそうです。

レポートでは「ブランドのターゲットに13歳～40歳の人が含まれている場合は今すぐTikTokを使用するべき」と記されていますが、TikTokに対するプライバシーの懸念も提起されています。2019年には「TikTokを解析したところTikTokが複数の法令違反を犯していることが判明した」と報じられたほか、2020年には「TikTokが他のアプリでユーザーが入力している内容を盗み取っている」ことが問題視されました。

TikTokがユーザーの入力している内容を盗み取っている - GIGAZINE

そんな中、「augustgl」という開発者が、TikTokのAndroid専用ソフトウェアパッケージのファイルフォーマットであるAPKをリバースエンジニアリングし、「TikTokのソースコード」をGitHub上で公開しました。

augustglはTikTokのソースコードを公開したGitHubリポジトリにおいて、「このプロジェクトは私の他のプロジェクトと少し異なります。TikTokはソーシャルメディアプラットフォームを装ったデータ収集エンジンです。これはまさにスパイウェアであり、Androidアプリをリバースエンジニアリングしようと思いました」と記しています。

GitHub上でリバースエンジニアリングされたソースコードが公開されていることに気づいたTikTokは、DMCAに基づいてGitHubへ削除を申請。TikTokがGitHubに提出したリポジトリの削除を要求する文書には、「私はこの通知の主題である著作権の所有者であるTikTokの法律顧問であり、所有者に代わって行動する権限があります」「オリジナルの著作物はTikTokのAndroidアプリのソースコードです。GitHubユーザーaugustglは、アプリをリバースエンジニアリングしたと主張しているようです」と記されています。

TikTokによるリクエストを受けて、2020年11月にaugustglのリポジトリや分岐したフォークが削除されたほか、2021年1月にも5件のフォークが削除されました。

今回の事態を報じたテクノロジー系メディアのTorrentFreakは、「大きな問題は、最近TikTokについて報じられているプライバシーとセキュリティの主張に関して、公開されたコードから驚くべき、あるいは洞察に満ちたものがもたらされたかどうかです」と指摘。TorrentFreakはaugustglに連絡を取ったそうですが、記事作成時点では返答がないとのことです。なお、TorrentFreakに寄せられたコメントには、「ソースコードをGitHub以外の場所に投稿するべきだった」「(augustglが投稿した他のリポジトリから推測して)リバースエンジニアリングではなく、単に逆コンパイルしただけのようだ」といったものが見られました。