MicrosoftのHoloLens開発チームから約100人が離脱して40人以上がMetaに加わったことが判明
Microsoftは現実空間と仮想空間を混合した複合現実(MR)を実現するヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」を開発しており、エンタープライズ向けに出荷する契約を結んでいます。ところが、日刊紙のウォール・ストリート・ジャーナルは、「HoloLens開発チームから過去1年間で約100人が離脱し、そのうち40人以上は『Oculus』を展開するMetaに雇われた」と報じました。
Microsoft Hit by Defections as Tech Giants Battle for Talent to Build the Metaverse - WSJ
https://www.wsj.com/articles/microsoft-hit-by-defections-as-tech-giants-battle-for-talent-to-build-the-metaverse-11641819601
Microsoft AR Team Loses Dozens of Employees to Meta | PCMag
https://www.pcmag.com/news/microsoft-ar-team-loses-dozens-of-employees-to-meta
Microsoftはアメリカ陸軍と「HoloLens」を12万台供給する契約を結んでいるほか、MRプラットフォームの「Microsoft Mesh」を発表するなど、近年は拡張現実(AR)技術やその発展系とも言えるMRの開発に力を入れています。
Microsoftが2兆円超でアメリカ陸軍に「HoloLens」12万台を供給する契約を締結 - GIGAZINE
ところがウォール・ストリート・ジャーナルは、「LinkedInプロファイルから、70人を超える元HoloLens開発チームの従業員が過去1年間でMicrosoftを離れたことが示されています」と述べ、全体では約100人もの従業員がMicrosoftのHoloLens開発チームから離脱したと報じています。また、離脱した元従業員のうち40人以上はMeta(元Facebook)に加わったことがわかっているとのこと。
Metaはその名の通りメタバースに注力しており、メタバースを会社の主力事業にするべく多額の投資を行っています。Metaに加わった元Microsoft従業員には、HoloLensのカスタマーフィードバック責任者であったチャーリー・ハン氏や、ディスプレイチームで働いていたジョシュ・ミラー氏などが含まれているそうです。
Microsoftの広報担当者はウォール・ストリート・ジャーナルに対し、同社は長年にわたってメタバース技術革新の最前線に立っていると主張して、「より没入型かつ手頃な価格で、さまざまなファームファクターで最先端のハードウェアを進歩させ続けます」と語りました。また、HoloLens開発チームに関する詳細についてはコメントを控えたものの、従業員の減少は多くのチームが直面する継続的な課題であり、Microsoftは従業員の維持や新たなメンバーの雇用に努めているとしています。一方、MetaはMicorosftからの引き抜きといった採用慣行についてのコメントを控えました。
メタバースは人々が遊んだり、買い物をしたり、働いたりできる仮想空間とされていますが、記事作成時点ではほとんど実現に至っていません。多くのハイテク企業がメタバースの構築に必要なハードウェアやソフトウェア開発に多額の投資を行っており、激しい人材獲得競争が繰り広げられています。ARやVRの経験を持つエンジニアの求人および給与提示額は急上昇しており、求人サイトIndeedによると2021年12月の「メタバース」に言及した求人数は前年の10倍以上だったとのこと。
職場におけるAR技術の採用をサポートするスタートアップ・Mira Labsの最高執行責任者(COO)を務めるマット・スターン氏は、ライバル企業や中小企業から人材を引き抜くトップハイテク企業は以前から存在したものの、Metaが成長しようとする規模とスピードは著しいと指摘。「Metaは市場の価格を押し上げました。中小企業が競争するのは難しいです」とスターン氏は述べています。
Metaは2021年だけで100億ドル(約1兆1500億円)以上をメタバースに投資したと発表しており、今後5年間でメタバース製品構築のためにヨーロッパで1万人以上を雇うなど、さらに人材確保を進めていく方針を打ち出しています。Metaによる人材確保の影響を受けているのはMicrosoftだけではなく、Appleを離れてMetaに加わった人物もいるとウォール・ストリート・ジャーナルは述べています。
AppleはMetaなどによる人材引き抜きを防ぐため、「ボーナスとして5万ドル(約570万円)から18万ドル(約2100万円)の株式を一部エンジニアに配っている」ことが報じられています。
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MetaはVRヘッドセットのOculusを展開して75%の市場シェアを誇っていますが、MicrosoftのHoloLensはエンタープライズ向けの高価なデバイスであり、出荷台数はOculusと比較してかなり少数です。しかし、AR分野においてはMicrosoftの技術が先を行っており、近年「ARスマートグラス」の開発に取り組んでいるMetaにとってMicrosoftの人材は魅力的だとのこと。
by Jean-Pierre Dalbéra
ウォール・ストリート・ジャーナルが接触したMicrosoft関係者によると、2021年3月にMicrosoftがアメリカ陸軍との大口契約を締結する前、一部の上級幹部がHoloLensプログラムに対する資金の削減を検討していたそうです。別の元Microsoft従業員は、会社が追加の作業を処理するのに十分な数のエンジニアを雇っておらず、AR・MR開発へのコミットメントに疑問があったと指摘。こうした会社への不満から、Microsoft従業員は競合他社からのオファーを受け入れやすかった可能性があると報じられました。
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in メモ, Posted by log1h_ik
You can read the machine translated English article It turns out that about 100 people have ….