仮想空間の触覚体験を得られるグローブをMetaが開発
Facebookから改名した「Meta」が、Reality Labsで開発している、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)でも触覚を得られるグローブの情報を明らかにしました。
Inside Reality Labs Research: Bringing Touch to the Virtual World | Meta
https://about.fb.com/news/2021/11/reality-labs-haptic-gloves-research/
Inside Reality Labs Research: Meet the team that’s working to bring touch to the digital world
https://tech.fb.com/inside-reality-labs-meet-the-team-thats-bringing-touch-to-the-digital-world/
Meta haptic glove prototype lets you feel VR objects using air pockets - The Verge
https://www.theverge.com/2021/11/16/22782860/meta-facebook-reality-labs-soft-robotics-haptic-glove-prototype
Facebook - Haptic Glove Research
複数のケーブルや突起が取り付けられたコレが、Reality Labsの開発する「触覚体験グローブ」。
VR・ARでユーザーの手足を表示する仕組みはすでに存在し、ものを押したり引いたりつかんだりすることはできますが、現実とは異なり「触った感覚」はありません。それを乗り越えるのがこの「触覚体験グローブ」です。
たとえば、現実に手を握り込むと、仮想空間の拳も握られます。指先にまでセンサーを取り付けてキャプチャーすれば、形状を再現することはできます。
しかし、このグローブなら、仮想空間の積み木を手にしたとき、その形を感じることができます。
仮想空間で握手。現実の握手と同じように手のひらがふれあい、相手の手が自分の手を握ってくる感覚が得られます。
仮想空間でジェンガをプレイするときも、「ここは抜いて大丈夫」という軽さを指先で感じられるようになります。
Metaによると、開発が始まったのは7年前。リサーチディレクターのショーン・ケラー氏が1人で開始し、今や数百人の世界レベルの専門家が集まる部門になっているとのこと。
ケラー氏が目指したのはVR・ARで相互作用に対応する、柔らかくて軽量の触覚グローブ。商業的成功のために必要な要素として「見た目がスタイリッシュであること」「快適であること」「価格が手頃であること」「耐久性があること」「カスタマイズ可能であること」が挙げられています。また、VRヘッドセットとペアリングしてメタバースでの没入型体験を実現するものであり、最終的にはARグラスでも機能することが求められました。
触覚提供のためには仮想オブジェクトに触れていることを伝えるため、数百個のアクチュエータが必要ですが、既存の機械式アクチュエータでは発熱が大きく、手袋を1日中快適に装着することに難がありました。また、そもそもアクチュエータが大きく、硬く、高価で、電力消費量も大きいという問題を抱えていました。このため、チームでは義肢などで用いられている空気圧アクチュエータと電気活性アクチュエータに着目し、アクチュエータ制御のために世界初という高速マイクロ流体プロセッサを構築しました。
アクチュエータがあっても、仮想オブジェクトの情報を適切にコンピューターに送る高度なハンドトラッキングテクノロジーがなければいけないため、仮想世界の状態と相互作用を取得し対応する感覚をアクチュエータにレンダリングするソフトウェアも開発。さらに、アクチュエータから得られる反応が、現実の素材を触ったときと同等のものになるように細かな実験を重ねて調整。
そして、快適なグローブのために、素材も製造技術も新たに作り出しました。
Metaは、VR・ARで信頼できる触覚体験を提供するための技術はまだ存在していないものの、RealityLabは触覚グローブを現実にするための進歩を続ける、と述べています。
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