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元OculusのMetaが次世代VRヘッドセットの要となるレンズのメーカー・Imagine Optixを買収か


VR企業の元OculusをVR部門としているMetaが、次世代VRヘッドセットの重要な部品となるPancharatnam Berry Phase Lens(PBPL)を生産する企業・Imagine Optixを買収したのではないかと、技術系ブログのKGOnTechが報じました。Metaは、買収を認めています。

Exclusive: Imagine Optix Bought By Meta - Half Dome 3's Varifocal Tech - Meta, Valve, and Apple on Collision Course? - KGOnTech
https://kguttag.com/2021/12/17/exclusive-imagine-optix-bought-by-meta-half-dome-3s-varifocal-tech-meta-valve-and-apple-on-collision-course/

Meta’s New Optics Advantage; Untangling a Messy Quest Sales Story — The Information
https://www.theinformation.com/articles/meta-s-new-optics-advantage-untangling-a-messy-quest-sales-story

現実世界では、人間の目はどこを見ていても対象物にピントを自然に合わせることができます。異なる距離にある物体に焦点を合わせるためには、目の中にある水晶体を筋肉で伸び縮みさせて焦点距離を変えるか、あるいは両目を内側に寄せていって近くのものにピントを合わせます。


最近のVR/ARヘッドセットを悩ませる大きな課題のひとつに、視覚の輻輳(ふくそう)調整があります。VR/ARの問題は、デジタル世界のどこを見ても、決まった画面、つまり同じ距離を見つめているだけになります。そのため、眼精疲労や吐き気、めまいなど、使用者の体に不調をきたすことがあります。

輻輳調整の問題を解決すべく、VR企業各社が開発を試みているのが、焦点距離を適宜変更したり異なる焦点面を提供したりできるヘッドセットです。そして、Imagine Optixの開発するPBPLやGeometric Phase Lens(GPL)は、この輻輳調整可能なヘッドセットに必要なレンズ技術というわけです。


Oculus Quest 2(Meta Quest 2)を開発しているMetaも、新しい画期的なヘッドセットを開発するため、さまざまな実験や大規模な採用活動、一連のチーム買収など、多大な労力を費やしてきました。

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そして、Metaは「Half Dome」というプロトタイプを開発し、2019年に3世代目となるプロトタイプ「Half Dome 3」を発表しました。KGOnTechは、MetaのVR・AR事業に関わるMeta Reality Labsのディスプレイシステム研究部長であるダグラス・ランマン氏がEI 2020での発表時に「Half Dome 3ではズームレンズとして、PBPLが使われている」と明言していると指摘しました。

EI 2020 Plenary: Quality Screen Time: Leveraging Computational Displays for Spatial Computing - YouTube


また、Imagine Optixは2021年3月に開催されたSPIE AR/VR/MR 2021カンファレンスでのプレゼンテーションで、MetaのHalf Dome 3に触れながら、自社のPBPLやGPLをアピールしました。KGOnTechは、このImagine Optixのプレゼンが「今すぐ我が社を買収してくれ、さもなければこれが最後だ」というメッセージに見えると解釈しています。


さらにKGOnTechによれば、Metaは自社の特許の中で、PBPLを利用していると明言しているそうです。この特許の執筆者の1人であり、Metaの液晶応用加工技術者であるアフスーン・ジャマリ氏は、2019年に「Limits of Pancharatnam Phase lenses for 3D/VR/AR Applications」という共著論文を発表しており、その中でImagine OptixをPBPLベンダーとして紹介していました。


KGOnTechによると、Imagine Optixの公式サイトは2021年12月に入って突然削除されたとのこと。The Informationによれば、KGOnTechがMetaによる買収の可能性を示唆した後、Metaは正式にImagine Optixを買収したと正式に認めたそうです。ただし、買収額は不明です。

なお、Imagine Optixに目をつけていたのはMetaだけではなかったようで、2018年にValveが900万ドル(約9億9000万円)を出資し、Imagine Optixの株も所有していたとのこと。しかし、Imagine Optixは2020年に別の企業からも500万ドル(約5億5000万円)の出資を受けたことが判明し、これをきっかけにValveはImagine Optixから手を引いたとされています。

この500万ドルを出資した別企業については、2019年にValveとAppleの関係が悪化していること、さらにImagine Optixが500万ドルの資金を調達したと同時にAppleがGPL技術の特許を申請したことから、Appleではないかと指摘する声もあったようです。

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in ハードウェア, Posted by log1i_yk

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