Microsoftが2兆円超でアメリカ陸軍に「HoloLens」12万台を供給する契約を締結

現実空間と仮想空間を混合した空間「複合現実(MR)」を実現するMicrosoftのヘッドマウントディスプレイが「HoloLens」です。Microsoftが、アメリカ陸軍にHoloLnes12万台を供給する契約を結んだことを2021年3月31日に発表しました。この契約は最大219億ドル(約2兆4000億円)の価値があるとみられています。

IVAS Production Contract Award > Program Executive Office Soldier > Article Display
https://www.peosoldier.army.mil/News/Article-Display/Article/2556870/ivas-production-contract-award/

Army moves Microsoft HoloLens-based headset from prototyping to production phase - The Official Microsoft Blog
https://blogs.microsoft.com/blog/2021/03/31/army-moves-microsoft-hololens-based-headset-from-prototyping-to-production-phase/

Microsoft wins contract to make modified HoloLens for U.S. Army
https://www.cnbc.com/2021/03/31/microsoft-wins-contract-to-make-modified-hololens-for-us-army.html

Microsoft $22 Billion U.S. Army Deal for HoloLens Advances - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-03-31/microsoft-22-billion-u-s-army-deal-for-hololens-moves-forward

HHoloLensは2016年に登場したデバイスで、目の前に3Dホログラムを表示したり、それに手で触れて操作したりすることが可能です。2019年にはQualcommのSoC・Snapdragon 850やAzure Kinectセンサーを内蔵した「HoloLens 2」が発表されました。

Microsoftが次世代MRヘッドセット「HoloLens 2」を発表、視野角2倍やアイトラッキングなど第1世代から大幅改良 - GIGAZINE

Microsoftは2018年11月28日に、カスタマイズした特製HoloLensを10万台以上納入する契約をアメリカ陸軍と交わしています。アメリカ陸軍は夜間でも周囲の状況を見ることができるナイトモードや相手の温度を感知するサーモグラフィー、相手の息づかいを検知する機能などを要望しており、この時の契約金は総額4億8000万ドル(約540億円)と報じられました。

Microsoftはアメリカ陸軍向けに10万台以上の特製HoloLens(ホロレンズ)デバイスを製造する契約を交わす - GIGAZINE

そして、今回Microsoftは「統合視覚増強システム(IVAS)」として、新たに12万台以上の特製Hololensをアメリカ陸軍に提供すると発表しました。Microsoftは「この契約は5年間有効であり、さらに5年延長するオプションもある。10年間の契約となった場合、最大219億ドルの取引となる見込みだ」と述べています。また、契約には一部のAzureクラウドサービスも含まれています。

IVASには、ナイトモードやサーモグラフィーに加え、ホログラムで地図やコンパス、味方の位置を表示する機能などが搭載されます。また、同じホログラムを複数のIVASに同時に表示させることもできるとのことで、アメリカ陸軍は「拡張現実と機械学習を活用して実物そっくりの複合現実トレーニング環境を実現し、近接戦闘部隊(CCF)のトレーニングを行っていく」と述べています。

by Kyle Walsh

経済メディアのCNBCによれば、Microsoftの一部の従業員は戦闘のためのテクノロジー使用に反対し、HoloLensの契約をキャンセルするよう要求しているとのこと。Microsoftのサティア・ナデラCEOは「我々の自由を守ってくれる機関に対し技術を出し惜しまないという原則的な決定を下しました」と述べ、陸軍のプロジェクトを擁護しています。