AIが抗肥満薬の未知の副作用を発見できる可能性、SNS上の患者報告を分析

食欲を抑制したり血糖値を下げたりすることで肥満の解消につながると言われている「GLP-1受容体作動薬」は、重篤な副作用はあまり多くないとされていますが、実際に体感する副作用についての十分な臨床試験が不足している面もあります。ペンシルベニア大学のコンピュータ情報科学研究者らが発表した論文では、AIを用いてインターネット上の書き込みを広く分析することで、臨床研究では知られていなかった副作用を発見できる可能性を示しました。
Self-reported side effects of semaglutide and tirzepatide in online communities | Nature Health
https://www.nature.com/articles/s44360-026-00108-y
AI Finds Potential Ozempic Side Effects Hidden in an Unexpected Data Source : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/ai-finds-potential-ozempic-side-effects-hidden-in-an-unexpected-data-source
食後に分泌される「グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)」は、インスリンの分泌を促し、食べ物を体内にとどめておくために消化を遅らせ、脳に満腹感をもたらして食欲を抑える作用を持ちます。そんなGLP-1の働きをより強く、より長く機能させるために開発されたのが「GLP-1受容体作動薬」です。GLP-1受容体作動薬には、肥満治療薬「ウゴービ」や2型糖尿病治療薬「オゼンピック」として知られるセマグルチド、2型糖尿病と肥満症の治療に使われるチルゼパチドなどがあります。2005年に糖尿病治療薬として最初に開発されたGLP-1受容体作動薬は、2014年に肥満治療薬として承認されました。その後、より高い減量効果を持つ薬剤としてセマグルチドやチルゼパチドが登場しました。
肥満を解消することができるかもしれない薬「オゼンピック」の効果とは? - GIGAZINE

研究チームは、世界最大級の掲示板型SNSであるRedditにおける2019年5月から2025年6月までの6年間にわたる41万件以上の投稿を分析し、主要なGLP-1受容体作動薬であるセマグルチドまたはチルゼパチド、あるいはそれらが含まれる「オゼンピック」などの商品名について言及されている投稿を探しました。その上で、これらの薬剤を使用しているというユーザーが報告している副作用について集計しました。
41万件以上の投稿を分析した結果、6万7008人のユーザーがGLP-1受容体作動薬を使用していると自己申告していたことが分かりました。そして、その中で少なくとも1つの副作用を報告していた投稿は43.5%ありました。
最も報告が多かった副作用は消化器症状で、吐き気が36.9%、けんたい感が16.7%、おう吐が16.3%、便秘が15.3%、下痢が12.6%。吐き気や下痢、便秘といった副作用はGLP-1受容体作動薬の軽度な副作用として知られているものです。
そして、これまで十分に報告されていなかった可能性のある副作用として、月経不順のような生殖器症状や、悪寒やほてりといった体温関連の症状の報告が確認されました。一方で、副作用だけでなくアルコール摂取欲求の低下など既存研究でも注目されている効果についての投稿も確認されています。

論文の共著者であるペンシルベニア大学のシャラス・チャンドラ・グントゥク氏は「臨床試験は最良の方法ですが、その仕組み上時間がかかります。SNSの書き込みを分析する方法は臨床試験の代替となるものではありませんが、スピードが重要になるケースでは臨床試験よりもはるかに迅速な調査として有用です。また、医師には話さないような症状の手がかりが患者自身から自発的に得られるという点も、注目すべきポイントです」と述べています。
今回の分析ではOpenAIのGPTモデルを用いて投稿中の症状表現を抽出・分類することで、大規模なデータ処理とパターンの発見を実現しています。Redditは若いアメリカ人の成人にユーザーが偏っているほか、あくまで自己申告によるため実際にGLP-1受容体作動薬がそれらの症状を引き起こしたと断定することはできません。しかし、具体的な証言を素早く収集し、さらなる研究や見逃されてしまう問題点を浮き彫りにする方法として価値があると研究者らは強調しました。
論文の共著者であるライル・ウンガー氏は「臨床試験では一般的に、薬の最も危険な副作用は特定できますが、患者が最も懸念している症状は特定できない場合があります。SNSは必ずしも代表的な情報源ではありませんが、多数の投稿が集積されていれば、さらなる懸念事項を反映している可能性があります」と語りました。
・関連記事
マンジャロやオゼンピックなどの減量薬で体重を減らした人は肥満関連の疾患のリスクが低下すると判明 - GIGAZINE
新しい肥満治療薬「レタトルチド」がGLP-1受容体作動薬の落とし穴を回避する方法とは? - GIGAZINE
オゼンピックのようなダイエット薬は服用中止後も減量した体重の一部はリバウンドせず維持される - GIGAZINE
肥満や糖尿病を治療する経口薬「オルフォグリプロン」は経口セマグルチドよりも血糖と体重を大きく改善できるという臨床試験結果 - GIGAZINE
肥満を解消することができるかもしれない薬「オゼンピック」の効果とは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in AI, ネットサービス, サイエンス, Posted by log1e_dh
You can read the machine translated English article AI may be able to detect unknown side ef….







