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SNSやメディアは「ネガティブな情報」を使って人の注意を引きつけている、自分の注意力を取り戻す方法とは?


現代ではインターネットの普及により、世界中のさまざまな場所で起きている事件や災害、紛争などのネガティブなニュースが、スマートフォンやPCを通して絶え間なく入ってきます。これは、以前は目に入らなかった社会問題を考える機会が得られるという点では有益ですが、ニュースに圧倒されて不安を覚えたり、仕事や趣味に集中できなくなったりするリスクも伴います。そこで、カナダのロイヤル・ローズ大学の行動神経科学者であるメーガン・シップマン氏が、不安をあおるデジタルメディアから自分の注意力を取り戻す方法について解説しました。

Digital media is using negativity to steal our attention — here’s how to reclaim it
https://theconversation.com/digital-media-is-using-negativity-to-steal-our-attention-heres-how-to-reclaim-it-274101

SNSを見ていると近隣で起きた事件や事故、政治的な問題に対する怒りの声、地球の遠く離れた場所で起きている戦争の悲惨なニュースまで、ありとあらゆるネガティブなニュースが入ってきます。シップマン氏は、ネガティブなニュースに圧倒される感覚はデジタルプラットフォームとその営利目的のアルゴリズムの設計方法により、意図的に増幅されたものだと指摘しています。


多くの人はストレス解消や現実逃避のためにインターネットを使用しますが、人々の注意を最も強く引きつけるコンテンツは怒り・恐怖・憤りなどをあおるものです。ネガティブな見出しはポジティブな見出しよりもクリック数が多くなる傾向があるため、メディア各社にもネガティブなニュースを発信するインセンティブがあるとのこと。

2023年の研究では、SNSユーザーは強い否定的な感情を呼び起こすようなニュース記事を共有する傾向が、そうではないニュース記事と比べて約2倍も高いことがわかりました。ユーザーがネガティブな記事にいいねを付けたり共有したりすると、アルゴリズムに対して「同様のコンテンツを再度表示するべき」というシグナルが送られます。

その結果、SNS側はユーザーをプラットフォームに引きつけるため、ネガティブなコンテンツをどんどんオススメします。ユーザーがネガティブなコンテンツに反応すればするほど、コンテンツのクリエイターはエンゲージメントを最大化するため、ネガティブなコンテンツを発信するようになります。こうしたフィードバックループにより、SNSでは絶え間なくネガティブなコンテンツが目に入るというわけです。


人々が怒りを喚起するコンテンツに強く引かれるのは、本能的な性質によるものだとのこと。人間は脅威となる刺激に注意を向けるように進化しており、幼い頃からクモやヘビ、怒った顔といったものに偏った注意を示します。これは交感神経系による急性ストレス反応を活性化させ、闘争・逃走反応を引き起こします。

こうした反応は、人間が自然界でたまに直面する脅威から身を守るのに役立ってきました。ところが、近年はスマートフォンやインターネットの普及により、常にネガティブな刺激が手元にある世界を生きることとなりました。SNSなどのデジタルメディアは人間の神経的な偏りを利用し、企業としての利益のために人々の注意を奪い取っているとシップマン氏は指摘しました。

人々は無限の注意力を持っているわけではなく、気が散る要素が多い場所で勉強をしたり、複数のタスクを同時にこなそうとしたりすると、注意力が足りなくなってパフォーマンスが落ちます。そのため、スマートフォンに流れてくるネガティブなコンテンツに気を取られてしまうと、本来は自分の勉強や仕事、趣味のために使えるはずだった注意力が奪われてしまいます。

また、際限なく流れてくるネガティブなコンテンツは慢性的なストレスにもつながり、ますます注意力やパフォーマンスが低下します。ストレスを発散して気を紛らわせようとしても、やはりSNSに流れてくるコンテンツはネガティブなものが多いため、いつまでも注意力が低いままとなる悪循環に陥ってしまうとのこと。

プラットフォーム上でネガティブなコンテンツを強迫的に見続けてしまうことは「ドゥームスクロール」と呼ばれ、心理的な苦痛を引き起こし、メンタルヘルスを悪化させる可能性が高いことが示されています。


シップマン氏は、気候変動や経済不安、政治的な過激主義といった複合的な危機が増している現代において、アルゴリズムによる感情操作は深刻な課題だと主張。SNSなどで延々とネガティブなコンテンツを見てしまう悪循環を断ち切るため、以下のことを推奨しています。

1:オンラインで過ごす時間を減らす
ネガティブなコンテンツを見ないようにするには、アルゴリズムに支配されたオンライン空間から逃れることも重要です。スクリーンの見過ぎは睡眠に悪影響を与えるとされており、睡眠不足はストレスにつながることから、特に就寝前はスクリーンを見ない方がいいとのこと。

2:スクリーンを別の趣味に置き換える
行動経済学によれば、飲酒などの望ましくない行動を減らすには、自分が楽しめる他の活動に取り組むことが効果的だとされています。そのため、スクリーンを眺める代わりに自転車に乗ったり、パズルに取り組んだり、料理教室に通ってみたりすることが有効かもしれません。

3:ストレスを減らす
運動瞑想(めいそう)友人と過ごすといった活動はストレスを軽減し、ドゥームスクロールを断ち切る役に立つ可能性があります。

4:企業の思惑を認識する
シップマン氏がおそらく最も重要なステップだとしているのが、人々の本能的な感情を悪用し、注意を集めようと競い合う「舞台裏の勢力」について認識することです。シップマン氏は、「ニュースメディアから完全に距離を置くべきではないにせよ、私たちの注意や幸福を脅かすものから身を守るための備えを、より万全にしておく必要があります」と述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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