対立するグループへの敵意がSNSでのエンゲージメントを促進するという研究結果

X(旧Twitter)やFacebookなどのSNSを眺めていると、政治的な意見が異なる人々や政党に関する投稿がたくさん流れてきて、うんざりした経験がある人もいるはず。合計270万件を超えるSNSへの投稿を分析した新たな研究では、「対立する政治団体に関する投稿はシェアされやすい」という結果が示されました。
Out-group animosity drives engagement on social media | PNAS
https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.2024292118

Hostility towards outsiders motivates engagement on social media
https://www.psypost.org/hostility-towards-outsiders-motivates-engagement-on-social-media/
XやFacebookなどのソーシャルメディアでは、多種多様なユーザーがリアルタイムでさまざまなコンテンツを共有し、コミュニケーションを取っています。現代社会において、これらのソーシャルメディアは新聞やテレビのニュース番組に並ぶ主要な情報源となっています。
新聞やニュース番組ではすべての視聴者が同じコンテンツを見ますが、ソーシャルメディアではアルゴリズムがユーザーに見せるコンテンツを選別し、個人の趣味や嗜好(しこう)に合ったものを推奨してきます。そのため、2人のユーザーがまったく同じコンテンツを見ることはありません。
これらのアルゴリズムはユーザーが楽しめそうなコンテンツを推奨し、できる限り長くプラットフォームへの関心を維持し続けることを目的としています。ユーザーの好みに沿ったコンテンツだけを推奨する仕組みは、音楽や映画などの文脈では無害かもしれませんが、政治的なトピックについても自分と同じ意見ばかりが集まるエコーチェンバー現象が発生すると、政治的な二極化が悪化し、社会的分断につながってしまう懸念があるとのこと。
今回、イギリスのケンブリッジ大学でソーシャルメディア上の誤情報や政治的二極化について研究しているスティーブ・ラティー博士らの研究チームは、「政治的に対立する集団への敵意」がソーシャルメディア上でのエンゲージメントを高めるかどうかを調査しました。研究チームは、「二極化した社会では自分たちのグループを称賛するよりも、対立するグループへの敵意を表現することの方が、党派的なアイデンティティを示す上で効果的な可能性がある」と仮説を立てたとのこと。

最初の分析では、ニューヨーク・タイムズやMSNBCといったアメリカのリベラル系ニュースメディアと、FOXニュースやブライトバートなどの保守系ニュースメディアが行ったSNS投稿を分析しました。分析にはFacebookへの投稿(59万9999件)とXへの投稿(22万7229件)が用いられ、「ネガティブまたはポジティブな感情的単語」「政治的に対立するグループへの言及」などが、シェアやリポスト(リツイート)に及ぼした影響を調べました。
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