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「イーロン・マスクがTwitterアルゴリズムを変更してから怒りと敵意に満ちたツイートの表示が増加した」と研究者が発表


2022年11月にイーロン・マスク氏がTwitterのCEOに就任して以降、Twitterのアルゴリズムが変更され、「For You(おすすめ)」タイムラインに表示されるコンテンツに怒りや敵意を増幅するようなツイートの表示件数が増加していることが、コーネル大学とカリフォルニア大学バークレー校の研究チームによって報告されています。

[2305.16941] Twitter's Algorithm: Amplifying Anger, Animosity, and Affective Polarization
https://doi.org/10.48550/arXiv.2305.16941


Elon Musk’s Twitter algorithm changes are ‘amplifying anger and animosity’, say researchers | Evening Standard
https://www.standard.co.uk/tech/elon-musk-twitter-algorithm-cyberbullying-discrimination-cornell-uc-berkeley-b1084490.html


研究チームは2023年2月に806人のTwitterユーザーに対して、「おすすめ」タイムラインに表示されるコンテンツと、時系列順に表示される従来のタイムラインの比較を行いました。

調査の結果、研究チームは「おすすめ」タイムラインでユーザーに対して表示されるツイートが特に「感情的なコンテンツ」を強調しており、さらに元々反応を引き起こす意図がなくても、結果としてユーザーの感情的な反応がこれまでよりも強くなっていることが明らかになりました。

研究チームは「Twitterのアルゴリズムは、怒りや幸福、悲しみ、不安のような強い感情を表現するツイートを増幅しています。特に怒りを表現するツイートは集中的に増幅されていることが判明しました。また、Twitterユーザーはこのアルゴリズムによって表示されたツイートを読んだ後、感情的な反応が増加し、特に怒りを感じているようです」と報告しています。


また、Twitterのアルゴリズムによって表示される政治的なツイートは、ユーザーの行動や思考を変化させる可能性が高くなるとされています。研究チームによると、対立意見を持つグループに対して否定的な意見を持つなどの行動が増加する可能性もあるとのこと。研究チームは「これらのアルゴリズムによって選択されたツイートを閲覧することで、ユーザーは自分が支持する政治的なグループをより肯定的に、支持しないグループをより否定的に認識するようになり、ユーザーの感情的な二極化につながる可能性があります」と語っています。


さらに、Twitterのアルゴリズムによってキュレーションされた「おすすめ」タイムラインを閲覧する多くのユーザーは、自分の信念や信条に合った特定のおすすめアカウントをフォローするようになり、タイムライン上に似たようなコンテンツが表示され、結果としてエコーチェンバー現象が強化されることが示唆されました。

一方でコンテンツ制作などに携わるマーヴィン・ウィンケルマン氏は「討論に参加することは人間の本質的な一部であり、論争が起こっているトピックの方が意見が一致しているトピックよりもはるかに多くの相互作用を生み出す傾向にあります」と述べています。

またウィンケルマン氏は「マスク氏によるTwitter買収以降、Twitterのアルゴリズムは議論の活発化を目的に変更されたと考えられます。Twitterの『おすすめ』タイムラインでは多くの論争的なトピックが表示されますが、どんなに肯定的なトピックであってもさまざまなユーザーが反対意見を唱え、議論が行われているため、結果として否定的に感じられることがあります」と推測しています。


なお、Twitterではアルゴリズムの透明性の確保を目的として、2023年3月に「おすすめ」タイムラインの投稿選択アルゴリズムがオープンソース化しています。

Twitterが「おすすめ」タイムラインの投稿選択アルゴリズムをオープンソース化して公開、誰でもダウンロード可能に - GIGAZINE

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in ネットサービス, Posted by log1r_ut

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