トヨタの「キーフォブを用いたリモートスタート機能」がサブスクリプションの一部だったと判明し海外ユーザーの間で議論に
月額定額制でマイカーを保有できたり、車の一部機能が月額制で提供されたりと、自動車業界にもサブスクリプションサービスが取り入れられつつあります。そんな中、トヨタのマーケティング資料から、キーフォブ(リモートキー)を用いて離れたところから車両に乗り込むことなくエンジンをかけたりエアコンを入れたりできるリモートスタート機能が実はサブスクリプションで提供されるものだったことがわかり、議論の的となっています。
Toyota will disable key fob remote start unless you pay a monthly fee : cars
Toyota Made Its Key Fob Remote Start Into a Subscription Service
https://www.thedrive.com/news/43329/toyota-made-its-key-fob-remote-start-into-a-subscription-service
トヨタは、自動車と「トヨタスマートセンター」を通信で接続してさまざまなサービスを提供するコネクティッドサービスを提供しています。
北米の場合、サービスは大きく「Safety Connect」「Service Connect」「Remote Connect」「Wi-Fi Connect」「Destination Assist」の5つのジャンルに分かれています。利用にあたっては、コネクティッドサービス対応の車種によって設定されている「Audio」「Audio Plus」「Premium Audio」という3つのプランに加入することになり、プランによって使えるサービスが異なります。おおむね、「Safety Connect」と「Wi-Fi Connect」はどのプランでも利用できますが、「Service Connect」「Remote Connect」「Destination Assist」はプランによっては設定がありません。
掲示板サイト・RedditのユーザーJCH_19氏が発見した資料は、「The Convenience of Remote Connect」と題されたPDFファイル。
The Convenience of Remote Connect
(PDFファイル)https://www.toyota.com/content/connectedservices/marketing/PDF/Remote_Connect_CFA.pdf
この資料によると、キーフォブを用いたリモートスタート機能は「Remote Connect」に含まれるもので、「Audio Plus」プランの場合、最大3年間利用可能。4年目以降はサブスクリプションが必要だとのこと。サブスクリプション価格は年額80ドル(約9100円)か月額8ドル(約910円)の設定となっています。「Premium Audio」プランの場合は最大10年利用可能で、11年目以降にサブスクリプションが必要になります。
なお、2018年11月12日以前に製造された「リモートコネクト」搭載車はサブスクリプション対象から除外されています。
アプリを利用するサービスをサブスクリプションモデルで提供するケースは多々ありますが、キーフォブリモートスタート機能のように、サーバーを経由して提供されているわけではなく、車とキーフォブとの通信のみで完結している機能が有料化されるのは「現在のところ、トヨタが初」とThe Driveは指摘しています。
キーフォブリモートスタート機能に関して、利用にあたっては継続的なサブスクリプションサービスへの加入が必要であるという意味合いの文言は以前から存在したもので、トヨタ関連のフォーラムでは「そういうことなのではないか」と考えるオーナーも存在していましたが、表現が簡潔ではないことや、2018年モデルのオーナーでもサブスクリプションの無料期間内であったことから、誰も詳細を把握できていませんでした。
今回、ニュースサイト・The Driveはトヨタの広報担当者に連絡を取って「2018年以降の『リモートコネクト』搭載車で『キーフォブリモートスタート機能』を利用するにあたり、サブスクリプション登録が必要である」ことを明確にしました。
Redditの当該スレッドには数百件のコメントが寄せられ、モデレーターにより「Potentialy Missleading(誤解を招く可能性があります)」というラベルが付与されています。なお、議論は「キーフォブの機能が有料化される」ことそのものだけではなく、この事態がSF小説に出てくる記述に似ていることでも盛り上がっているようです。
指摘されているのは映画「トータルリコール」のもとになった短編「追憶売ります」や「高い城の男」「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」などの作品で知られるSF作家フィリップ・K・ディックの小説「ユービック」。
作品に登場したのは「開閉時に料金が必要な契約なドア」。登場人物は持ち合わせがなかったため、パーツを外してドアを開けることにしましたが、今回のキーフォブリモートスタート機能の場合はその解決法は通用しなさそうです。
was posted here sometime ago: The door refused to open. It said, "Five cents, pl... | Hacker News
https://news.ycombinator.com/item?id=29543401
なお、上記は海外での話で、国内はそもそもプランが異なっており、事情が異なるようです。
トヨタ トヨタのコネクティッドサービス | T-Connect はじめての方へ | トヨタ自動車WEBサイト
https://toyota.jp/tconnectservice/intro/
キーフォブを用いたリモートスタート機能は存在しますが、海外と同種の期限設定があるかは不明。一方、アプリ経由のスマートスタート機能は年額2420円、月額220円で提供されています。
トヨタ トヨタのコネクティッドサービス | トヨタのコネクティッドサービス一覧 | リモートスタート(アプリ) | トヨタ自動車WEBサイト
https://toyota.jp/tconnectservice/service/remote_start.html
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