GMが新たな運転支援システム「ウルトラクルーズ」を発表、運転シナリオの95%でハンズフリーの自動運転が可能に
by Automotive Rhythms
自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)が新たな運転支援システム「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」を、2021年10月6日に開かれた投資家向け会議で発表しました。ウルトラクルーズは市街地などを含む200万マイル(約320万キロメートル)以上の舗装道路において、「運転シナリオの95%」でハンズフリーの自動運転を可能にするとのことです。
GM Announces Ultra Cruise, Enabling True Hands-Free Driving Across 95 Percent of Driving Scenarios | General Motors Company
https://investor.gm.com/news-releases/news-release-details/gm-announces-ultra-cruise-enabling-true-hands-free-driving
GM claims Ultra Cruise will go hands-free in 95% of scenarios, due in 2023
https://www.greencarreports.com/news/1133797_gm-claims-ultra-cruise-will-go-hands-free-in-95-of-scenarios-due-in-2023
GM Announces Ultra Cruise
https://gmauthority.com/blog/2021/10/gm-announces-ultra-cruise/
GM reveals Ultra Cruise ‘hands-free’ system that covers ‘95 percent’ of driving scenarios - The Verge
https://www.theverge.com/2021/10/6/22712566/gm-ultra-cruise-adas-hands-free-driving
GM ‘Ultra Cruise’ Hands-Free Driver Assistance System - Consumer Reports
https://www.consumerreports.org/driver-assistance-systems/gm-ultra-cruise-hands-free-driver-assistance-system-a4904409015/
GMは2017年、運転支援システムの「Super Cruise(スーパークルーズ)」をキャデラックブランドの一部車種に投入しました。スーパークルーズは地図やGPSデータ、さらにレーザーを利用して地形を測定するLIDARセンサーによる道路マッピングデータを用いて、一部の高速道路においてハンズフリーの自動運転を可能にするシステムです。
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新たにGMが発表したウルトラクルーズは、既存のスーパークルーズをさらに進化させた運転支援システムといえます。ウルトラクルーズはカメラ、レーダー、LIDARなどのセンサーを使用して、車両のステアリングやスピード調整、ブレーキといったさまざまな運転操作を制御するとのこと。
既存のスーパークルーズは利用可能な範囲が北米の高速道路20万マイル(約32万キロメートル)に限られていますが、ウルトラクルーズは利用可能な範囲をさらに広げ、高速道路以外の市街地などを含む200万マイルもの北米の舗装道路で動作するそうで、運転シナリオの95%でハンズフリーの自動運転を提供するとGMは主張しています。
さらに、ウルトラクルーズは利用可能範囲を340万マイル(約550万キロメートル)以上に拡張する可能性があるとのこと。GMのチーフエンジニアであるジェイソン・ディットマン氏はウルトラクルーズについて、「ドライバーは市街地・細分化された道路・田舎の舗装道路など、ほぼ全ての舗装道路をハンズフリーで移動できるようになります」と述べています。
ディットマン氏によると、車間の維持や制限速度に従ったルート追跡機能、車線変更や右左折、近接物体の回避、住宅の私道における駐車といったさまざまな運転操作を支援できるそうです。その一方で、ラウンドアバウトといった複雑な道路状況ではドライバーが制御する必要があるため、ライトや触覚フィードバックでドライバーが操作するように促すとのことです。
製品やサービスの比較検討結果を報じる月刊誌のコンシューマー・レポートに対して、GMの広報担当者は「ウルトラクルーズはスーパークルーズと基本的に同じ種類のセンサーで動作します。ただ、フロントガラスの後ろに統合されたLIDARを含め、センサーが70%多くなっています」と話しました。ウルトラクルーズはLIDARやカメラなどのセンサースイートを使用して、車の周囲を取り巻く360度の環境を3Dで知覚するとのこと。
GMのグローバル製品開発担当副社長であるダグ・パークス氏は、「さまざまなセンサーの組み合わせが、お客様にとって最も堅牢なハンズフリードライバーアシストシステムにつながると信じています」と述べています。LIDARなどのセンサーを増加させることで自動運転システムを堅牢にするというGMの方針は、LIDARなどを使わず純粋なカメラビジョンによる自動運転システムを目指すテスラとは対照的です。
また、テスラとGMの大きな違いとしては、運転支援システムを使用している時の「ドライバーの監視システム」も挙げられます。テスラはハンドルにかかる重みでドライバーの状況を監視していますが、ドライバーは荷重検出システムをだますことが容易である上に、脇見運転をする頻度が増えるという研究結果も報告されています。一方、GMは赤外線を用いてドライバーの視線を検出し、注意散漫の傾向を見つけると警告する仕組みを導入しており、コンシューマー・レポートは安全性の面でGMを高く評価しています。
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ウルトラクルーズは2023年から、ハイエンドのキャデラックブランド車両で利用可能になる予定です。一方、既存のスーパークルーズもウルトラクルーズと「共存」するとのことで、2023年までに22の車種にスーパークルーズが搭載されるとのこと。海外メディアは、ウルトラクルーズが高級車種で利用可能なオプションとなる一方、スーパークルーズはより安価な車種で利用可能になるのだろうと述べています。
GMは投資家会議の中で、ウルトラクルーズを「貴重なサブスクリプションの機会を備えた高度なレベル2先進運転支援システム」と呼んでおり、サブスクリプションを通じてウルトラクルーズを提供する可能性を示しました。また、ホンダおよびアキュラと共同開発する電気自動車にスーパークルーズが搭載される可能性も示唆したとのことですが、これがウルトラクルーズにも及ぶかどうかについては言及しなかったとのことです。
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