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テスラ車は不可能であるはずの「完全無人運転」が簡単にできてしまうと判明


2021年4月17日、2019年型のテスラSが道を外れて木に衝突し、炎上して2人が死亡するという事故が発生しました。この事故で特に話題を呼んだのが、テスラSには「運転席が無人の際にはオートパイロットシステムを作動させない」という安全機構が存在しているにもかかわらず、問題のテスラSが事故の際に運転席が無人だったという点でした。この謎についてアメリカの代表的な消費者情報誌のコンシューマー・レポートが独自調査を行った結果、運転席の無人状態を検知する安全機構が「簡単にだませる」と判明しています。

Tesla Will Drive With No One in the Driver's Seat - Consumer Reports
https://www.consumerreports.org/autonomous-driving/cr-engineers-show-tesla-will-drive-with-no-one-in-drivers-seat/

Tesla’s Autopilot is ‘easily’ tricked into working without anyone in the driver’s seat - The Verge
https://www.theverge.com/2021/4/22/22397546/tesla-autopilot-consumer-report-test-no-driver

2021年4月17日、アメリカ・テキサス州スプリングで2019年型のテスラSが木に衝突して大破した上に炎上し、車内にいた2人が死亡するという事故が発生しました。この事故の調査を担当したハリス郡警察署は、「綿密な鑑識の結果、遺体の位置からみて、運転席には誰もいない状態だったことを100%確信している」と言い切り、問題のテスラSが何かしらの理由で運転者不在のまま走行していたと主張しました。

テスラ・モデルSが衝突事故で大炎上し2名が死亡、運転席は無人 - GIGAZINE


この一件についてテスラは公式回答を控え続けており、唯一の回答と呼べるものは同社のイーロン・マスクCEOがツイートした「回収されたデータログによると、問題の車はオートパイロットが有効化されておらず、オートパイロットをオンにするために必要な車線も存在しない道でした」という、「問題のテスラSは事故時にオートパイロットを使っていなかったと考えられる」という主張のみという状況でした。

Your research as a private individual is better than professionals @WSJ!

Data logs recovered so far show Autopilot was not enabled & this car did not purchase FSD.

Moreover, standard Autopilot would require lane lines to turn on, which this street did not have.

— Elon Musk (@elonmusk)


一連の事件の動きに対して、独自調査に乗り出したのがコンシューマー・レポートです。コンシューマー・レポートは「重りをつけたチェーンをハンドルに結びつける」というシンプルな手法で、安全機構が「ドライバーがハンドルを握っている」と認識したままオートパイロットを有効化し続けると実験で示しました。実際の映像が以下。


安全機構に「ドライバーがハンドルを握っている」と誤認させるため、重りを取り付けたチェーンを結わえます。


ドアを開けるとオートパイロットが自動停止してしまうため、ドアを開けずに運転席から助手席へ移動。この際、運転席はシートベルトを留めた状態にしておきます。


こうして「無人の運転席」が完成。オートパイロットは運転者の不在を検知できないまま、オートパイロットを続けました。なお、実験には万が一のときのためのスタッフが配備された専用の試験場が用いられており、試験者にオートパイロットの専門家を起用した上で時速30マイル(時速約48km)を決して超えないようにするなど、安全について最大限に配慮しつつ実験を行ったとコンシューマー・レポートは注記しています。


また、マスクCEOは「車線が存在しない道ではオートパイロットをオンにできない」と述べていますが、テスラ車を所有しているSergio Rodriguez氏の実験によって、車線が存在しない道でもオートパイロットをオンにできることが示されています。

There was a tragic accident that transpired last night with a Tesla. The initial report indicate there wasn’t a driver in the drivers seat. Some say the street won’t allow autopilot due to not having lines. My Tesla activates autopilot without lines. I could end up in a tree pic.twitter.com/26TVw9Bo98

— Sergio Rodriguez (@LyftGyft)


コンシューマー・レポートは、「今回の実験結果は、テキサス州スプリングの事故で同じ手法が使われたということを意味してはいません」と断りつつ、「安全機構をだますのがいかに簡単であるかには驚かされました。明らかに現行の安全機構は不十分です」と述べ、安全機構の信頼性に疑問を提起しています。

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in 乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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