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1980年代まで肉や砂糖が配給制だったポーランドが世界経済大国トップ20に名を連ねた理由とは?


中央ヨーロッパに位置するポーランドは東の国境をベラルーシやウクライナ、西の国境をドイツと接する旧共産主義国家であり、1980年代まで肉・砂糖・小麦などを購入するには「配給券」が必要でした。しかしその後、世界経済大国トップ20に入るまでの経済成長を遂げています。どのようにして躍進を実現したのか、AP通信が経緯をまとめています。

Poland is a model for economic growth | AP News
https://apnews.com/article/poland-economy-growth-g20-gdp-26fe06e120398410f8d773ba5661e7aa

ポーランドはわずか一世代前まで共産主義国家であり、砂糖や肉などの生活必需品が配給制で、国民の賃金は西ドイツ国民の10分の1にとどまっていましたが、1989年に自由選挙が行われて共産主義から民主制国家へと移行しました。するとポーランドの経済は飛躍的に成長し、年間生産高が1兆ドル(約1兆5700億円)を超える世界第20位の経済大国へと発展しました。

以下のグラフは縦軸が1人あたりのGDP(国内総生産)を表しており、赤色がポーランドで灰色がEU平均、左が1990年で右が2025年です。1990年時点でポーランドの1人あたりGDPはわずか6730ドル(約106万円)で、EU平均のわずか38%にとどまっていましたが、2025年には5万5340ドル(約870万円)で、EU平均の85%に達しました。なお、GDPは現代のドルに換算されており、各国間の商品およびサービスのコストの違いを考慮した購買力平価(PPP)で調整されています。


2025年の国ごとのGDPトップ20カ国は以下の通り。トップはアメリカの30兆6200億ドル(約4830兆円)、2位は中国の19兆4000億ドル(約3060兆円)、3位はドイツの5兆1000億ドル(約800兆円)、4位は日本の4兆2800億ドル(約670兆円)となっており、ポーランドは1兆4000億ドル(約221兆円)で20位にランクインしています。


ポーランド経済は2004年のEU加盟から年平均で3.8%の成長を遂げており、これはEU平均の1.8%を大きく上回っています。ポーランド・コズミンスキー大学のマルチン・ピョンツコフスキ教授は、ポーランドが貧困から抜け出すのに役立った要因は複数あり、そのひとつが「ビジネスのための強固な制度的枠組み」を速やかに整備したことだと説明しています。

民主制国家へと移行した後のポーランドは独立した裁判所、公正な競争を保つための独占禁止機関、経営難に陥った銀行が融資を滞らせるのを防ぐための強力な規制を設けました。これにより、他の旧共産主義国家で起きたような腐敗行為や、少数の政治家による経済の乗っ取りといった問題を生じさせずに経済発展を遂げられたとのこと。


また、EUは加盟前からポーランドに数千億円規模の援助を行っており、ポーランド人が政治的立場を問わず、EU加盟を長期的目標として共有していたことも経済発展に寄与しました。ピョンツコフスキ教授は、「ポーランド人は自分たちがどこへ向かっているのかを知っていました。ポーランドは西側諸国が500年かけて築き上げてきた制度やルール、さらに文化規範の一部までを取り入れたのです」と述べました。

共産主義体制も抑圧的だったとはいえ、教育などに関する社会的な障壁を取り払い、工場労働者や農場労働者に教育の機会を与えたという点で経済発展の下地を作りました。民主制国家へ移行後のポーランドでは高等教育ブームが起き、記事作成時点では若者の半数が大学の学位を取得しているとのことで、「人件費が安いのに教育水準が高い」という投資家を引きつける特長を備えることにもつながりました。

以下のグラフは、旧共産主義国家の1990~2024年の1人あたりGDP成長率を示したもので、ポーランドがその他の国々を大幅に上回る「252%」の成長を達成したことがわかります。


AP通信は、1996年に設立されたポーランドの車両メーカー・ソラリスの成功が、ポーランドの起業家精神を象徴するものだと主張しています。ソラリスの創業者であるクシシュトフ・オルシェフスキ氏は、もともと共産主義体制の下で西ドイツから部品を取り寄せてポーランド車を修理する自動車修理工場を経営していました。ポーランドではほとんどの企業が国有化されていたものの、小規模な民間修理業者には営業許可が与えられており、民間起業家が集まる飛び地のようになっていたとのこと。

オルシェフスキ氏はポーランドが民主制国家に移行した後、1996年にドイツのバス会社の子会社を設立し、ポーランド市場向けにバスの製造を開始。2004年にポーランドがEU加盟を果たすとヨーロッパ市場へのアクセスが開かれ、ヨーロッパで電気バステクノロジーを試している企業がほとんどなかった2011年に、電気バスの製造を開始するというハイリスク・ハイリターンな決定をしました。これには、西側の大企業に比べて失敗時のリスクが小さかったことも関係しており、結果としてソラリスは電気バス市場で15%のシェアを獲得する大企業となりました。

希望に満ちているかのように見えるポーランド経済ですが、依然として平均賃金はEU平均を下回っており、中小企業が繁栄している一方でグローバルブランドに乏しいなどの課題もあります。また、多くの先進国と同様に少子高齢化も問題となっていますが、2022年のロシア侵攻から逃れてきた数百万人ものウクライナ移民が、高齢化が進む社会における重要な労働力になっているとのことです。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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