半導体がどうやって作られるかがゲーム風のビジュアルと説明で簡単にすぐわかる「ChipTycoon」

半導体製造プロセスをアニメーションで視覚化した「Chip Tycoon」が公開されました。ミニチュア工場でぐるぐると動き回る半導体を見ながら製造プロセスを理解することができます。
ChipTycoon: How a Computer Chip Is Made
https://laurentiugabriel.github.io/ChipTycoon/
Chip Tycoonにアクセスすると見えてくるのが半導体工場です。製造プロセスが20の段階に分けられており、それぞれの施設に半導体を運ぶカートが移動していきます。半導体はごく普通の砂から始まります。ただの砂ではなく、シリカと呼ばれる鉱物を非常に多く含む石英砂です。シリカとはシリコンと酸素が結び付いたもので、地球の地殻のおよそ4分の1はシリコンでできているため、原料が尽きる心配はありません。最高品質の石英は限られた鉱山で採掘され、加工される前から白くガラスのような見た目をしています。

次に石英砂と炭素を約2000℃の巨大な電気炉に入れます。炭素は酸素を非常に強く引き付けるため、砂から酸素を奪い取り、酸素は気体となって抜けていきます。炉の底から流れ出てくるのは、およそ99%の純度を持つ溶融シリコンです。99%という数字は十分に思えますが、目標は99.9999999%です。残りの不純物を取り除くことだけが、次の建物の役割です。

次の施設では何度も蒸留を繰り返して不純物を取り除きます。その後、きれいになったガスを高温の棒の上に流し込むと、シリコンが表面に固体として析出します。こうしてできるのがポリシリコンで、純度は99.9999999%です。砂糖を満たしたプールの中に、たった1粒だけ異物が混ざっているようなレベルです。

ポリシリコンは小さな結晶があちこち好き勝手な向きを向いた寄せ集めです。しかし半導体では、すべての原子が同じ規則正しい格子状に並んでいる必要があります。この処理を行うため、ポリシリコンを溶かし、小さな種結晶を浸してから、回転させながらゆっくり引き上げます。するとシリコンが種結晶に凍り付き、その結晶構造をそのままコピーします。1~2日かけて引き上げると、長さ2m、重さ数百kgにもなる銀色の円柱ができます。その全体が端から端まで、1つの結晶です。

次に、その結晶をサラミのように薄い円盤へと切り分けます。ダイヤモンド粒子をまぶした細いワイヤーを何本も使ったワイヤーソーで、一度に何百枚もの薄切りにします。それぞれの薄片がウエハーです。厚さは1mm未満で、見た目は鈍い灰色の円盤です。実際に必要な厚さより少し厚めに作られているのは、ロボットが運搬するときに割れないようにするためです。

回転する研磨パッドと乳白色の研磨液を使い、最初は粗く、その後は非常に丁寧に表面を磨きます。完成したウエハーは鏡のようです。もしこれをサッカー場ほどの大きさまで拡大したとしても、一番高い突起はコイン1枚ほどの高さしかないほど平らです。ここまで平らである必要があるのは、このあと光を使って回路を描くためです。表面がデコボコでは、光のピントを合わせ続けられません。

半導体とは、トランジスタと呼ばれる何十億もの極小スイッチと、それらをつなぐ配線で構成された道路地図のようなものです。もちろん、1つずつ手で描くわけではなく、専用の設計言語で「この半導体に何をさせたいか」を記述し、ソフトウェアが自動的にレイアウトを作成します。完成した設計図は建物の各階のように複数の層へ分割され、それぞれが後の印刷工程1回分になります。

設計図の各層は、マスクと呼ばれるガラス製の原版になります。マスクとは、非常に純度の高いガラス板に、1層分の回路パターンを薄い金属膜で描いたものです。透明な部分だけ光が通り、金属部分は光を遮ります。1つの半導体設計には通常60枚以上のマスクが必要です。マスクに描かれるパターンは、完成する半導体より約4倍大きく作られています。露光装置がそれを縮小して印刷します。

ここから先は、手術室よりも清浄な空気の中で行われます。これから印刷する構造は、ホコリ1粒よりもはるかに小さいため、ホコリが1粒でもウエハーに落ちると、その下の半導体は使い物になりません。天井から微細なフィルターを通した空気を押し込み、床から吸い出すことで、ホコリが積もる暇を与えません。作業員が全身白い防護服を着るのも、人間を守るためではなく、人間からウエハーを守るためです。人は常に皮膚や髪の毛を落とし続けているからです。

次にウエハー全体を薄膜で均一に覆います。ウエハーを酸素中で加熱すると、シリコン表面がガラス(酸化膜)へ変化し、優れた絶縁体になります。表面に付着するガスを吹き込み、金属や絶縁体を原子1個ずつ積み重ねていくという方法が採られることもあります。こうした薄膜は驚くほど薄く、中にはわずか数個の原子分の厚みしかないものもあります。この時点では、膜はウエハー全体を均一に覆っていますが、まだ目的の形ではありません。

ウエハーに、光で性質が変わる液体「フォトレジスト」を塗布します。ウエハーの中央に数滴落とし、高速回転させると、遠心力によって液体が均一に広がります。フォトレジストは昔のカメラフィルムのような性質を持っており、光が当たった部分だけが変化します。そのため、この工程全体は黄色い照明の下で行われます。半導体工場の写真の中に黄色い雰囲気のものがあるのは、このためです。

工場の心臓部です。回路パターンを写真のようにウエハーへ焼き付けます。光をマスクに通し、何枚ものレンズで像を縮小してから、フォトレジストを塗ったウエハーに照射します。光が当たったフォトレジストだけが変化し、影になった部分はそのまま残ります。一度に露光できるのは小さな領域だけなので、露光した後にウエハーを少し横へ移動し、また露光します。この動作を何度も繰り返し、ウエハー全体に同じ半導体を何百個も焼き付けます。最も微細なパターンにはEUV(極端紫外線)が使われます。EUVは非常に扱いが難しく、普通のガラスどころか空気にも吸収されてしまうため、装置は真空中で動作し、レンズではなく鏡を使って光を制御します。

次に変化したフォトレジストを洗い流し、その下の層を削ります。液体で、光が当たって変化したフォトレジストだけを洗い流し、フォトレジスト自体を型紙として残します。続いてエッチングです。プラズマが、露出している部分だけを削り取り、フォトレジストに覆われた部分には触れません。最後に残ったフォトレジストも除去すると、回路パターンが実際の層に刻み込まれます。

純粋なシリコンは電気をあまり通しません。しかし、ホウ素やリンなど別の元素をごくわずかに混ぜることで、導電性を自在に制御できるようになります。イオン注入装置は、それらの原子を非常に高速まで加速し、塗装用スプレーガンのようにウエハーへ撃ち込みます。

そして配線作業です。絶縁膜に溝を掘り、次に表面全体を銅で覆うと、銅が溝を埋めます。そして余分な銅を研磨で削り取ると、溝の中だけに銅が残ります。それが配線です。その上に再び絶縁膜を形成し、同じ工程を繰り返します。現代の半導体では、トランジスタの上に十数層もの配線が積み重なっています。切手ほどの大きさの大型プロセッサ1個にある内部配線をすべて一直線に伸ばすと、何十kmにもなります。

ここまでで1層。実際の半導体には約60層あるため、最後の6工程は一度きりではなく、何か月も繰り返されます。層を形成し、フォトレジストを塗り、露光し、エッチングし、ドーピングまたは配線を形成し、平らに研磨したら、次の層でも同じことを繰り返します。これが半導体の製造に約3カ月かかる理由であり、完成までにウエハーが工場内を何kmも移動する理由です。単一の処理を待っているのではなく、同じ処理を何度も繰り返しているのです。

できあがったウエハーは一度検査されます。細い針を各半導体の小さな金属パッドへ接触させ、試験信号を送り込み、返ってくる結果を確認します。不良品には印が付けられます。正常な製造ラインでは大半の半導体が合格しますが、すべてが合格することはありません。この合格率を歩留まりと呼びます。歩留まりこそが、半導体工場が利益を出せるか赤字になるかを決める数字です。

続いて円形のウエハーを何百個もの小さな正方形に切り分けます。ダイヤモンドブレードやレーザーを使い、設計段階で半導体同士の間にあらかじめ設けておいた細い空白部分に沿って切断します。切り離された1つ1つはダイと呼ばれ、その厚さは爪よりも薄いほど。合格したダイだけが回収され、不良と判定されたものは廃棄されます。ウエハーは円形ですが、切り出す半導体は正方形なので、ウエハーの端は必ず無駄になります。ウエハーが大きいほど無駄になる割合は小さくなるので、業界はより大きなウエハーに移行し続けています。

むき出しのダイは壊れやすすぎるため、ケースに収めます。ダイを小さな基板へ接着し、髪の毛ほど細いワイヤーや微小なはんだボールで基板上の金属端子と接続します。その後、金属製のフタや硬い樹脂ケースで覆います。半導体の回路基板の上で見える黒い四角い部品は、半導体そのものではなくパッケージです。パッケージは、基板上から配線しやすいよう端子を広げる役割も果たし、さらに熱を逃がす役目も担っています。

最終試験を行い、性能ごとに選別して出荷します。ここでは高温・低温・最高動作速度で半導体を検査します。作業台の上では正常でも、温かいノートPCの中では正常に動作しないことがあるからです。試験結果によって等級が決まり、最も高速で信頼性の高いものは最高価格帯として販売され、それ以外は廉価モデルに割り当てられます。その後、トレイやリールへ詰められ、飛行機で運ばれ、プリント基板へはんだ付けする工場へ送られます。

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in ハードウェア, Posted by log1p_kr
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