生き物

オウムが欠損したクチバシの代わりに道具を使う様子が確認される


ニュージーランドの固有種であるミヤマオウムは、過去の実験により「確率の概念を理解する」という能力を持つということが明らかになっています。高い知能を持つこのオウムですが、新たに「欠損したクチバシの機能を道具で補う」という様子が確認されました。

Self-care tooling innovation in a disabled kea (Nestor notabilis) | Scientific Reports
https://doi.org/10.1038/s41598-021-97086-w


Disabled kea uses tools for self-care - Scimex
https://www.scimex.org/newsfeed/disabled-kea-uses-tools-for-self-care

A Disabled Parrot in New Zealand Has Taught Himself to Use Tools For Self-Care
https://www.sciencealert.com/this-kea-with-only-half-a-beak-called-bruce-uses-tools-for-self-care

道具を使う様子が確認されたのは、「ブルース」と名付けられたミヤマオウム。ブルースはもともと野生動物でしたが、上クチバシが欠損した状態で発見されたために人間によって保護され、以来ニュージーランドのウィローバンク野生動物保護区で飼育されています。

ブルースは環境に適応して餌を食べる様子などが確認されていたのですが、上クチバシが欠損しているために、体の衛生を保つために必須である毛づくろいができないのではないかと懸念されていました。しかし、9日間にわたりブルースを観察したアマリア・バストス氏らにより、ブルースは地面に落ちている石を下クチバシと舌を使って拾い上げ、上手に毛づくろいをしている様子が確認されました。


ブルースが毛づくろいをしている様子は以下の動画で確認できます。

Self‐care tooling innovation in a disabled kea (Nestor notabilis) - YouTube


バストス氏らはブルースの行動のポイントとして、「小石を毛づくろいのために意図的に拾っていること」「小石を落とした場合、それを拾っていたこと」「小石をランダムに選ぶのではなく、特定のサイズのものを選んでいたこと」「ブルース以外のオウムはこのような行動を取らなかったこと」の4つを挙げています。つまり、石を使った毛づくろいはブルース特有の行動であり、ブルースが毛づくろいに最適な石を学習し見つけ出す能力を持っているとバストス氏らは指摘しています。


これまでにペットのオウムが道具を使って毛づくろいを行ったという事例は報告されていたのですが、野生で育ったオウムでは初めての事例だとのこと。バストス氏は「障害に適応して道具を使用するということは、オウムの知性に柔軟性があることを示しています」と述べました。

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in サイエンス,   生き物, Posted by log1p_kr

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