オウムやイルカなどの「おしゃべりな動物」に共通する特徴とは?
人間以外にもイルカやコウモリなど音を出すことでコミュニケーションを取る動物は数多く存在しています。そんな「おしゃべりな動物」に共通する特徴や発声のメリット&デメリットについて科学関連メディアのLive Scienceがまとめています。
What's the chattiest animal? | Live Science
https://www.livescience.com/what-is-chattiest-animal.html
アフリカ南部に生息するミーアキャットは、エサを探す際に大きな鳴き声を上げることで知られています。イギリスのケンブリッジ大学で動物のコミュニケーションについて研究するアリク・ケルシェンバウム氏は、「ミーアキャットは、エサを探す際に『ここにいるよ』『ここは安全だよ』といった情報を共有するために鳴き声を上げています」「発声する動物の多くは、ミーアキャットのように大規模なコミュニティを形成する傾向にあります」と主張しています。
しかし、ケルシェンバウム氏によると、声を出すには多くのエネルギーが必要であり、声を出すことで捕食者に居場所を見つけられるリスクが高くなる場合もあるとのこと。これらのデメリットから、多くの生き物は発声する頻度が少なくなっています。ケルシェンバウム氏は「かなり複雑な社会構造を持つことで知られるチンパンジーも、あまり声を出さず、主にジェスチャーでコミュニケーションを取ります」と述べています。
一方で、アメリカのロックフェラー大学で神経生物学を研究するエリック・ジャービス氏は「音は長い距離を移動します。これにより、動物が遠く離れた相手に対して縄張りを主張したり、遠くの仲間を見つけたりすることが可能になっています」と述べ、動物が発声することには多くのメリットがあると主張しています。
発声のメリットを享受できる動物は、多くのエネルギーを消費することや、捕食者からの発見リスクの増加といったデメリットが問題にならない動物に限られます。このため、ジャービス氏は人間・クジラ・イルカ・ゾウといった食物連鎖の最上位に位置する動物ほどおしゃべりな傾向があると指摘しています。加えて、ジャービス氏は「鳥の中でも、鳴き声を出す鳥は、頂点捕食者の子孫である場合が多いです。また、コウモリは他の動物に聞こえない超音波を用いることで、捕食のリスクを回避しています」と主張しています。
さらに、「おしゃべりな動物」は、発声し続けることによるエネルギー消費を最小限に抑えるシステムを備えてるとのこと。通常、発声時には多くのエネルギーを消費して喉頭の筋肉を動かす必要があり、喉頭の筋肉を動かすと乳酸のような副産物を生成する可能性があります。しかしジャービス氏は、「人間を含む『おしゃべりな動物』は、喉頭の筋肉を動かした際に生じる副産物から体を保護するタンパク質分子を備えています」「言い換えれば、『おしゃべりな動物』の場合、声を出すことは比較的少ないコストで大きな利点をもたらします」と述べています。
最後に、ジャービス氏は「多くの専門家と話し合った結果、私たちはイルカが最もおしゃべりな動物だと考えています。イルカはいつも、どんな時でも発声し続けています」と語っています。
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