生き物

オウムは「確率に基づいて判断を下せる」ことが判明、大型の類人猿以外の動物では初


種類によっては人の言葉をまねすることができるオウムは、過去の研究により「道具の作り方や使い方を仲間から学習できる」など高い知能を持っていることが分かっています。そんなオウムには、「確率の概念を理解することが可能」な能力があることが、実験により突き止められました。

Kea show three signatures of domain-general statistical inference | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-020-14695-1

Parrots that Play the Probabilities: Evidence of Domain-General Intelligence in Kea | Nature Research Ecology & Evolution Community
https://natureecoevocommunity.nature.com/users/353234-amalia-bastos/posts/61089-parrots-that-play-the-probabilities-evidence-of-domain-general-intelligence-in-kea

Parrots Are Only The Second Kind of Animal We've Found That Can Grasp Probabilities
https://www.sciencealert.com/parrots-are-only-the-second-animal-we-ve-found-that-can-grasp-probabilities

今回新たに「確率を理解できる」ことが明らかになったのは、ニュージーランド・南島の固有種であるミヤマオウムで、現地ではマオリ語の「キア」という名前で知られています。ミヤマオウムは、食物の少ない環境に適応するため極めて高い学習能力や好奇心を身に付けており、ニュージーランドを訪れる観光客からは「山の賢い道化師」と呼ばれているとのこと。

by L A Smart

そんなミヤマオウムに驚くべき能力があることを突き止めたのは、ニュージーランドにあるオークランド大学の研究者アレックス・テイラー准教授とアマリア・バストス氏です。動物学と心理学の2つの側面から知性について研究している両氏は、ロフェルド・ブルース・ロキ・ネオ・プランクトン・タズと名付けられた6羽のミヤマオウムを利用して、確率の理解についての実験を行いました。

実験には、「オレンジ色のくじ」と「黒色のくじ」を詰めた2つの瓶を使用。瓶ごとにくじの入っている割合は偏っており、瓶そのものは透明なので、どのくじがどちらの瓶に多く入っているかは外から見て判断することが可能でした。


最初の実験で、実験者はミヤマオウムに「それぞれ瓶からどちらかのくじを取った握りこぶし」を見せて選ばせ、手の中に黒色のくじが入っていた場合にのみおやつを与えました。これを20回繰り返した結果、ミヤマオウムらは偶然以上の確率でおやつにありつくことができたとのこと。


その後、瓶の一部を覆い隠したり……


瓶を仕切りで区切ったりして確率の予測を難しくしても、オウムはきちんと「正解の確率が多い方」を選択することができました。


また別の実験では、ミヤマオウムに1人目の実験者が「黒色のくじが多い瓶からランダムにくじを取る様子」を見せた後、2人目の実験者が「黒色のくじが少ない瓶の中をよく探してくじを取る様子」を見せて、どちらの人が黒色のくじを持っているか選ばせました。その結果、ミヤマオウムは瓶に入っているくじの割合につられることなく、「くじをよく探した人」を選ぶことができたとのこと。


バストス氏はこの結果について「実験でのミヤマオウムの成績は、彼らの知性が柔軟であり、特定の状況などに依存しない領域一般性のあるものだということを示しています。過去には生後12カ月未満の乳幼児や、大型類人猿でも同様の結果が得られていますが、オウムと類人猿が3億1200万年前に共通の祖先から枝分かれしたことを考えると、ミヤマオウムに高いレベルの知識統合が観察されたのは、非常に驚くべきことです」と述べました。

また、今回の研究によりミヤマオウムの知能が高いことだけでなく、AIの開発や発展にも寄与する結果が得られたとのこと。テイラー氏らは論文の中で、「我々の研究は知性がどのように進化するかを理解することにつながるため、人工的な領域一般性の思考プロセスを開発する研究にとっても重要な意味を持ちます」と結論付けました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
オウムは道具の使い方や作り方を仲間から学習できることが判明 - GIGAZINE

音楽に合わせて14種類ものダンスを踊り分けるオウム - GIGAZINE

番犬ならぬ番鳥、泥棒を追い払う防犯オウム - GIGAZINE

カラスが人間の子どもと同じ自制心を持つことが「マシュマロ実験」で示される - GIGAZINE

カラスはバラバラのパーツを組み立てて便利な道具を作り出すことができる - GIGAZINE

in サイエンス,   生き物, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.