ネットサービス

ネットの年齢確認や子どものSNSブロックを阻止するための裁判に業界団体NetChoiceが勝利


近年はインターネットの害から子どもを保護することを名目に、さまざまなウェブサイトやSNSに年齢確認を義務づける法案が相次いで可決されています。アメリカのルイジアナ州でも、2023年に「オンライン児童交流の安全確保及び年齢制限に関する法律(Act456)」が可決されていますが、業界団体のNetChoiceが起こした裁判で、Act456は憲法違反だとして差し止める判決が下されました。

NetChoice Wins Permanent Block of Louisiana Age Verification Law, Protecting Free Speech and Parental Rights - NetChoice
https://netchoice.org/netchoice-wins-permanent-block-of-louisiana-age-verification-law-protecting-free-speech-and-parental-rights/


Louisiana social media law ruled unconstitutional | Courts | nola.com
https://www.nola.com/news/courts/louisiana-social-media-age-verification-unconstitutional/article_aec1f16c-aba2-41cb-83b0-9180d953e2c5.html

ルイジアナ州のAct456は、ソーシャルメディア企業に対して、ルイジアナ州のアカウント保有者に年齢確認を義務づけるというもの。また、16歳未満の子どもがアカウントを保有する場合は保護者の同意を必要とするほか、保護者にペアレンタルコントロールを提供することも定められています。


ところが、MetaやGoogle、Reddit、Discordなどが参加する業界団体のNetChoiceは、「ルイジアナ州のAct456は言論の自由を保護する合衆国憲法修正第1条に違反している」として、ルイジアナ州の裁判所に申し立てを行いました。

そして2025年12月、ルイジアナ州中部地区連邦地方裁判所はNetChoiceの訴えを認め、Act456を無効とする判決を下しました。判決では、ルイジアナ州民が保護された言論にオンラインでアクセスする際に機密性の高い政府IDの提出を求める法律は、合衆国憲法修正第1条に違反すると認められています。

ルイジアナ州のジョン・デグラヴェルズ判事は、「州政府は子どもを危害から守る正当な権限を有しますが、それは子どもが接触する可能性がある思想を制限する、無制限の権限を含むものではありません」と主張。Act456は違憲である可能性があり、表現の自由を制限するために必要なレベルの負担は認められないと結論付けました。

NetChoice訴訟センターの共同ディレクターを務めるポール・タスケ氏は、「本日ルイジアナ州では、合衆国憲法修正第1条が勝訴しました。政府には、気に入らない合法的な言論へのアクセスを制限する権限はありません。地方裁判所が認めたように、合衆国憲法修正第1条は、政府が図書館の入り口の外で身分証明書の提示を求めることを禁じています。これはソーシャルメディアについても同様です」と述べました。


裁判所は今回の判決で、以下の点を再確認しています。

・合衆国憲法修正第1条による情報アクセスの保護:政府は安全を名目として、成人や未成年者の保護された言論へのアクセスをブロックすることはできない。
・プライバシーが最重要:ユーザーに政府発行のIDによる年齢確認を強制するとオンラインの匿名性が損なわれ、ユーザーデータが危険にさらされる。
・曖昧な法律は無効:Act456が対象とする「ソーシャルメディアプラットフォーム」の定義が曖昧であるため、企業は法律の意味を推測せざるを得なくなり、法律の恣意(しい)的な施行につながる。

これに対しルイジアナ州のリズ・マリル司法長官は、「オンライン上の捕食者による児童への攻撃は、総力を挙げて取り組むべき問題です。裁判所が、簡易な年齢確認メカニズムを義務づける立法政策よりも、児童搾取を助長する巨大企業を保護することを選んだのは残念です」と声明を発表。今回の判決を不服として控訴するつもりであると明らかにしました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ポルノ閲覧時に「身分証の提示」を義務づける法律がアメリカで制定される - GIGAZINE

大手アダルトサイトのPornHubが年齢確認を法律で義務付ける州からのアクセスをブロックすると発表、アクセスが80%減少してもブロックする理由とは? - GIGAZINE

Twitterなどが加盟する業界団体NetChoiceが「未成年者のアカウント開設時に親の許可を求める法律」を巡って州を提訴 - GIGAZINE

16歳未満の子どもがSNSを始めるのに親の同意が必要になるという法律の施行を連邦判事が阻止 - GIGAZINE

年齢確認を義務化する法律には十分な効果がなく無駄な負担ばかり増えているという分析結果 - GIGAZINE

Googleがついに強制的に年齢確認を開始 - GIGAZINE

世界初の「16歳未満のSNS禁止法」がオーストラリアでスタート、TikTok・X・Instagram・YouTubeなどが対象 - GIGAZINE

SNS利用の最低年齢を一律16歳とする提案を欧州議会が採択 - GIGAZINE

「16歳未満のSNS禁止法」の黒幕はオンラインギャンブル広告の規制を阻止したい広告代理店だった可能性 - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article Industry group NetChoice wins lawsuit to….