スマホの通知で集中は何秒間乱れるのか?

スマートフォンの通知によって集中力がそがれるというのはよく聞く話ですが、実際にどの程度の影響があり、何がその差を生むのかは十分に分かっていませんでした。スイス・ローザンヌ大学の心理学研究員であるイポリット・フルニエ氏らは、スマートフォン風の通知表示を使った実験を行い、通知によって認知処理がどれほどの時間鈍るのかを調査しました。
Push notifications as cognitive detonators? Disentangling the attentional costs of smartphone notifications via online Stroop and pupillometry
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0747563226000233
New psychology research reveals the cognitive cost of smartphone notifications
https://www.psypost.org/new-psychology-research-reveals-the-cognitive-cost-of-smartphone-notifications/

フルニエ氏らが調べたのは、スマートフォンの通知がなぜ注意をそらすのかです。フルニエ氏らは通知が気になりやすい理由を「画面に何かが急に出てくること」「普段から通知を見る習慣があるため、通知らしい表示に反射的に気を取られやすくなっていること」「その通知が自分に関係ありそうで重要だと感じること」の3つに分けて考えました。
実験には大学生180人が参加し、「ストループ課題」に取り組みました。ストループ課題は、たとえば「red(赤)」という文字が青色で表示された時に文字の意味ではなく文字の色を答える課題です。意味につられず色だけを答える必要があるため、注意の乱れを調べる方法としてよく使われます。
今回の場合、参加者にストループ課題に答え続けてもらい、その最中に画面の端へスマートフォンの通知に似せた表示を一瞬出すという形で実験を行っています。フルニエ氏らはこの通知の見せ方を3つに分けて比べました。
1つ目のグループでは、参加者に「自分のスマートフォンが実験用コンピューターと同期しており、画面に出る通知は自分に届いた本物のメッセージだ」と思わせるようにました。つまり、課題に答えている途中でまるで自分宛の通知が画面に現れたように見える設定です。
また、2つ目のグループでは通知の表示内容からそれが自分宛ではなく他人宛のメッセージだと分かるようにしました。
そして、3つ目のグループでは通知の本文をぼかして読めないようにし、「何か通知が来た」ということだけが伝わる表示にしました。

結果として通知が表示された直後には課題への反応が一時的に遅くなり、その影響は約7秒間続いたとのことです。この遅れは3つのグループ全てで確認されたそうですが、特に大きかったのは「これは自分宛の通知かもしれない」と思わされる条件だったとフルニエ氏らは述べています。さらに、自分宛の通知だと思わされたグループでは、その通知をどれだけ気にしたかによって影響の大きさも変わったとのことです。
以下のグラフaは「通知の前後で反応時間がどう変わったか」、グラフbは「反応時間の遅れが通知後もしばらく続くこと」、グラフcは「通知前後の反応時間の差が特に自分宛の通知だと思わされた条件で大きいこと」を示しています。

フルニエ氏らはこの結果について、通知が気を散らすのは画面に急に表示が出ること自体だけでなく、通知への慣れや、自分に関係ありそうだと感じることも重なったためだとみています。
フルニエ氏らは実験中に瞳孔の変化も測りました。瞳孔の開き方は、どれだけ注意が向いているかや、どれだけ負担がかかっているかをみる手がかりの1つとして使われます。今回の研究では、瞳孔の変化も反応時間の結果とおおむね同じ傾向を示したとのことです。
以下のグラフaは通知後の時間に応じた瞳孔サイズの変化、グラフbは通知の受け止め方や通知音量による瞳孔サイズの違い、グラフcはそれぞれの要因が時間の経過に応じて瞳孔変化へどう表れるかを示しています。

研究チームはスマートフォンの使い方との関係も調べるため、参加者のスマートフォン利用データを3週間分集めて調べました。その結果、集中の乱れの大きさと強く結び付いていたのは、1日にどれくらい長くスマートフォンを使っていたかではなく、普段どれだけ多くの通知を受けているかや、どれだけ頻繁にスマートフォンを確認しているかでした。
ただし、この研究結果だけで「通知はすべて悪い」「SNSは使わない方がいい」と結論づけることはできず、フルニエ氏らもそのような単純な受け取り方は避けるべきだと述べています。また、瞳孔の測定は体の動きや画面の明るさの影響を受ける可能性があるのに加え、今回使われた通知は比較的前向きに受け取られやすい内容が中心で、不安を強くあおるような通知については十分に確かめられていないことも研究の限界として挙げられています。
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in サイエンス, スマホ, Posted by log1b_ok
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