「ポルノの直売所」とまで呼ばれたSNS「OnlyFans」が性的コンテンツの規制に踏み切る、「Pornhub事件」の再来か
比較的緩いコンテンツ制限によって多数のセックスワーカーがポルノを直接販売することができていたSNS「OnlyFans」が「性的コンテンツを2021年10月1日から一部規制する」と発表しました。この方針転換の裏側には銀行やクレジットカード会社の意向があるとみられることから、「Pornhub事件の再来」と報じられています。
Acceptable Use Policy — OnlyFans
https://onlyfans.com/aup
OnlyFans ban reveals Visa and Mastercard’s power - Protocol — The people, power and politics of tech
https://www.protocol.com/policy/onlyfans-visa-mastercard
OnlyFans details the ban on “sexually explicit content” - The Verge
https://www.theverge.com/2021/8/20/22634785/onlyfans-new-terms-of-service-policy-banning-sex-masturbation
2016年にサービスを開始したOnlyFansはクリエイターが手軽にコンテンツを直接販売できるという点を強みにするSNSです。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による世界的な巣ごもり需要を背景に「1日15万人」というペースでユーザー数を伸ばし続けた点が話題を呼びましたが、OnlyFansはCOVID-19によって職を失ったポルノ女優やストリッパーがポルノを直接的に販売できるサービスだとしても注目を集めました。
性的なコンテンツが多く投稿されるSNS「OnlyFans」とは? - GIGAZINE
海賊版の横行などによって有料ポルノのオンライン販売が難しくなる中、ポルノに対する比較的緩やかな規制に加えて、セキュリティの強化や著作権侵害対策に力を入れていたOnlyFansは「ポルノの直売所」として台頭。同サービスにおいてポルノは一つの柱となっていましたが、2021年8月20日にOnlyFansは「性的に露骨なコンテンツを禁止する」と発表しました。
Acceptable Use Policy — OnlyFans
https://onlyfans.com/aup
改定後の利用規約では、新たに「性的に露骨な行為」を定義し、この行為に関するコンテンツの公開・宣伝・言及を2021年10月1日から禁止するとのこと。性的に露骨な行為とは、一般的な性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックス、自慰行為などを直接的に映したものや、それらを模した内容を映したもの、肛門や性器に関する過激な描写、性行為中に一般的に分泌される体液の描写・疑似的表現とされており、ざっくり要約すると「性行為は疑似的なものも禁止。ヌード写真・動画はOK」という感じ。
以上のように、OnlyFansはポルノによって人気を集めた時期から大幅な方針転換を図ったわけですが、その背景には「銀行やクレジットカード会社の意向」があるとされています。報道によると、OnlyFansは今回の利用規約の改定を「銀行パートナーと支払いプロバイダーの要求」によって行ったとのこと。具体的にどこが圧力をかけたのかは不透明ですが、OnlyFansは銀行などの金融機関に対応した決済サービスStripeや、Visa・Mastercardなどのクレジットカード会社と連携していることから、これらの企業が圧力をかけたものだとみられています。
こうした「決済サービスがポルノを提供するサービスに対して圧力をかける」という事態は、2020年に生じたPornhubの一件と共通しています。Pornhubは2020年当時は世界最大のアダルトサイトでしたが、VisaとMastercardが「児童ポルノやリベンジポルノから収益を得ている」として決済を停止。Pornhubは利用規約の改定並びに素性の疑わしい「未承認ユーザーがアップロードしたムービー」の全削除に踏み切ったため、全ムービーの80%にあたる約1000万本が消去されました。
世界最大のアダルトサイトPornhubが1000万本以上の「未認証ユーザーがアップロードしたムービー」を削除 - GIGAZINE
by Prachatai
Pornhub事件で巻き起こったのが、「決済サービスに『検閲力』を与えるべきではない」という議論と「ポルノ規制によってセックスワーカーの困窮を招く」という議論です。Pornhub事件は、大手決済サービスが決済を停止するという措置を執ればある種の利用規約を強要できることを示し、その結果としてパンデミックによってオンラインポルノの販売で生計を立てるようになったセックスワーカーにしわ寄せが来るという事例となりました。
Pornhubに対するVisaとMastercardの決済停止処分は「事実上の検閲」にあたるという指摘、決済停止によるセックスワーカーの困窮を懸念する声も - GIGAZINE
今回のOnlyFansの一件も以上のようなPornhub事件と同じ流れとなっていますが、Mastercardの広報担当者はOnlyFansの利用規約改定について「メディアの報道によって初めて知りました」「彼ら自身の決定です」と、同社は無関係だという立場を取っています。またPornhubの一件については「当社製品が受け入れられる場所での未承認および違法なアダルトコンテンツの防止に重点を置いたもので、合法的なコンテンツや活動への影響はありません」と改めて答えています。
・つづき
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