「ポルノの直売所」と称されるまでに性的コンテンツの配信が会員制SNSで増加した理由とは?
新型コロナウイルスの流行により、ポルノ女優やストリッパーなどのセックスワーカーの多くが新たなビジネスの開拓を余儀なくされています。そんな中で、会員制のSNSサービスであるOnlyFansはコンテンツ制限が緩く、セックスワーカーたちの新たな活躍の場として注目されています。オンラインでの性的サービス配信がどのように注目を集め、何が問題になっているのかをフリーライターのクレア・ダウンズ氏がまとめています。
OnlyFans, Influencers, and the Politics of Selling Nudes During a Pandemic
https://www.elle.com/culture/a32459935/onlyfans-sex-work-influencers/
OnlyFansは、クリエイターが会員登録したフォロワーに向けて、有料で画像やムービーを配信することができるSNSです。OnlyFansはセキュリティの強化や著作権侵害対策にも力を入れており、信頼の厚いサービスとして人気を集めています。新型コロナウイルスの流行で何百万人もの人々が失業したり、外出自粛を強いられている影響もあってか、ダウンズ氏によるとOnlyFansはユーザー数が1日あたり約15万人増加し、新規登録率も7割以上増加したとのこと。
約2年間、OnlyFansでトップクラスの人気を誇っていた元セックスワーカーのレイン・デグレイ氏は、「海賊版が横行し、有料ポルノを違法にアップロードするウェブサイトが増えたせいで、ポルノにお金を払ってもらうことが難しくなりました。その上、新型コロナウイルスのパンデミックがあり、スタジオでは以前のような制作ができていません。しかし、OnlyFansではクリエイターが消費者に直接コンテンツを売ることができるため『ポルノの直売所』と呼べる状態になっています」と語っています。
新型コロナウイルスの流行により、店で働けないセックスワーカーがお金を稼ぐための新しい方法として、OnlyFansが台頭しました。
セックスワーカーのみならず、OnlyFansのクリエイターが増加した理由はもう1つあります。他のSNSでは、旅先の情報を発信するインフルエンサーは旅行に行けず、優雅なライフスタイルを発信するインフルエンサーは贅沢な生活ができません。景気の低迷により、企業もスポンサー付きのコンテンツに費やせる予算が減っています。コンテンツを作成できず、企業とのタイアップもできないクリエイターたちは、ファンに有料でコンテンツを売ることができるOnlyFansに自然と集まっています。
もともとはInstagramのインフルエンサーであったキャロライン・キャロウェイ氏も、OnlyFansでアカウントを作成しています。キャロウェイ氏はInstagramに際どい画像を投稿し、月額50ドル(約5400円)の高額なOnlyFansアカウントを宣伝し始めました。なお、記事作成時点でのOnlyFans平均的な月額料金はおよそ9.99ドル(約1070円)です。
また、キャロウェイ氏はTwitterやInstagramのアカウントで、「美女と野獣」のベルや、ジョン・エヴァレット・ミレーの絵画「オフィーリア」をテーマにしたコスプレをOnlyFansで披露することを予告しました。
しかし、児童ポルノを扱う本や映画のキャラクターを演じたいとほのめかしたり、「アンネ・フランクのコスプレをするべき」と提案した反ユダヤ主義の投稿を「いいね!」して共有したりしたことにより、キャロウェイ氏は多くのユーザーから反感を買いました。それでもキャロウェイ氏の暴走は止まらず、OnlyFansで得られる年収がおよそ22万3800ドル(約2396万円)になるとTwitterに投稿。結果、オンラインのセックスワーカーのコミュニティからも非難されています。
ダウンズ氏は、「キャロウェイ氏の自慢話は、経済的に苦しい時代に似つかわしくないだけではなく、右も左も分からない世界に足を突っ込んだ世間知らずであることを示しています。オンラインのセックスワーカーは大変な労働であり、知名度に頼ったバンドワゴン効果だけでは長続きしません」と指摘。OnlyFansでは多くのセックスワーカーが視聴者を引きつけるために、ほぼ毎日、定期的にコンテンツを制作・投稿してます。さらに、最新の照明機器を使用し、凝った衣装やさまざまな大人のおもちゃでムービーを作成するなど、他のクリエイターと差別化を図る工夫も取り入れられています。
「視聴者のリクエストに対応したり、写真やビデオの準備をしたり、実際にビデオを録画して編集したりするなど、コンテンツの制作には時間とエネルギーが必要です」と、学費を支払うためにナイトクラブのダンサーからOnlyFansのセックスワーカーに転身したSasha氏は語りました。過去にセックスワーカーとしてOnlyFansで活躍していたデグレイ氏も、「本当に価値のあるコンテンツを出して、視聴者層のベースを築くまでに1年半かかりました」と語っています。
オンラインでのポルノ配信は、他にも懸念すべき側面があります。例えば、悪質なユーザーによるプライベートへの干渉、ストーカー行為、悪質なコラージュの作成など問題はさまざま。悪質なユーザーをプラットフォームから排除することは困難で、OnlyFansでは本人確認のために運転免許証のアップロードを要求するなどの対策が取られてます。
ダウンズ氏がSasha氏に「キャロウェイ氏のOnlyFansでの活動に脅威を感じているのか」と尋ねると、「OnlyFansにはセックスワークをしたい人のための場があると思いますし、もしそうすることを選んだ人には、安全な方法で権限を与えられていると感じてほしいです」と述べました。ダウンズ氏は「OnlyFansは真面目なユーザー向けにカスタマイズされたサービスであり、不適合なインフルエンサーは、他のクリエイターのコンテンツを超えることはできません」と語ってます。
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