売春の形がインターネットの登場で大きな変化を迎えている
by Beryl_snw
インターネットの登場によって「買い物」「旅行」「タクシーを拾う」など、日常のさまざまなことが変化しましたが、「売春」も大きく変化しています。売春産業の新しい形態について、Quartzが実例と共に公開しています。
This madam has figured out how to keep sex workers safe on the internet — Quartz
http://qz.com/621994/trust-and-crime/
これまでの売春産業のビジネス形態の1つには、売り手である女性が路上を歩き、顧客を見つけるというものがありました。売り手はその日その日で顧客を見つけることがあれば、口コミで評判を広げることもありましたが、この方法は自分の身ひとつで行うことができる一方で、危険を伴います。また、エージェントが介入して売春婦の安全を確保するというシステムも存在しますが、売上げを売春婦とエージェントでシェアしなければいけないという点がネックでした。
しかし、テクノロジーの発達によって、上記のような個人事業者とエージェント式の中間である、「中規模の売春システム」が登場しています。
1995年にコミュニティサイトのCraigslistが設立するやいなや、売春婦たちはサービスを利用し、直接オンライン経由で顧客を見つけ出し始めました。「インターネットが生まれる前は、エージェントが売春婦に対して顧客の選別と供給を行っていましたが、彼らのキャパシティには限界がありました」と語るベイラー大学の経済学者スコット・カニングハム氏は、インターネットの成長が売春産業の新たな可能性を開いたと説明しています。
by Steven Depolo
現在、セックスワーカーたちは何百というウェブサイトを通じて自らのサービスを売り出すことが可能です。このシステムによって顧客と売り手が直接つながるので、サービスが多様化し、顧客はより自分のニーズにあったサービスを選択できるようになったことに加え、売り手側も地域など物理的な条件に制限されないため大きなポテンシャルを得ました。自宅にいながら顧客を見つけだせるので路上に立つよりも安全で、また、エージェントに売上げを持って行かれるということもありません。現在では売春市場におけるエージェントのシェアは小さくなっているとのこと。
このように市場が変化する中で、「売春婦たちのリスクを下げる」という分野のビジネスが注目を浴びています。違法な取引を行う場合は法律に頼ることができないので、法律以外の方法で自分の身を守る必要があるためです。
リタという女性のビジネスは、インターネットを利用して緊縛に特化したサービスを顧客に提供することですが、性行為に加えて嗜虐的なサービスを提供するため、高い安全性が求められます。そのため、リタ氏は独自に作り上げた調査プロセスで、顧客の中に警察や頭のおかしい人が混じっていないかを審査。リタ氏によると、審査を通過するのは潜在的な顧客4人のうち1人ほどとのこと。サービスの価格は1時間あたり800ドル(約8万4600円)で、リタ氏の取り分は30%となっています。
さらに、セッションが終了する都度にセックスワーカーたちに電話して安全を確かめると共に、情報を提供し、場合によっては自身のアパートにある特殊な「プレイ・ダンジョン」を提供することも。もちろん、個人事業者である売春婦は自ら顧客の調査を行うことが可能ですが、リタ氏のような第三者の目線で行われる客観的なチェックは効果的で、また顧客に対するインセンティブにもなるそうです。
買い物という分野1つをとっても、テクノロジーの発展でその形態は大きく変化しました。これまでは地域で見知った相手から物を買うということが通常でしたが、今では販売サイトを使えば海外の製品でも簡単に取り寄せることが可能。そしてこの時、買い物の方法が変化すると共に、評判や信頼を担保する方法についても変化する必要がありました。その最たる変化が「オンライン上のカスタマーレビュー」という存在です。
by Tormod Sandtorv
カスタマーレビューは商品やレストランに留まらず、違法な製品についても行われています。売春サービスを提供するウェブサイトには、民泊サービスのAirbnbや配車サービスのUberのように、「サービスを提供する側」「サービスを提供される側」の2方向からのレビューが存在します。独特なのは、売春婦が新しい顧客を取るまでに最低2人の売春婦から評価される必要があること。これは顧客が最初のサービス利用で失敗することが多いことに対する配慮だそうです。
そして、他のウェブサービスを利用する時と同じく、全ての評価が信頼に値するわけではありません。大切なことは「誰から」「どのような評価を得ているのか」ということ。レストランを評価するサービスで、レストランの新任スタッフが行った評価が信用されないように、しっかりした顧客から高い評価を得ることで、評価や信頼を上げ、それが売上げにつながっていくわけです。
評価や信頼をオンライン上で可視化する仕組みは進化しつつありますが、それでもまだ売春婦たちに必要なレベルには到達しておらず、セックスワーカーたちの安全を守るためにも、リタ氏の行っているようなビジネスが重要になります。セックスワーカーと顧客の間に入って建設的なフィードバックを行っていくことで、よりよいサービスの提供が行えるようになる、という利点も大きいです。
by Alessandra Celauro
テクノロジーの発達に関しては「将来、人間の仕事がロボットに奪われる」という声もありますが、単に電話番号やパスポートをチェックするだけでなく、「直感」を要することから、信頼と仲介のエキスパートであるリタ氏が行うような仕事は、ロボットには実行できないものの1つだ、とQuartzはつづっています。
・関連記事
「人生一度。不倫をしましょう。」とうたう不倫SNS「Ashley Madison」がGoogle、Yahoo!などから広告を拒否される - GIGAZINE
車の中で性行為をしている男女をドローンで撮影、売春婦の逮捕に貢献 - GIGAZINE
「ペニスで戦う生き物の存在」や「売春する動物」など8つの信じがたい科学的事実で学校では習わないこと - GIGAZINE
セックス用ロボットがまもなく現実のものに、実現に向けた課題とは? - GIGAZINE
セックスについて知られざる14の真実 - GIGAZINE
どの体位がどれぐらいカロリーを消費するのかがわかりセックスで体重を減らすダイエットができる「BangFit」 - GIGAZINE
・関連コンテンツ