植物由来の人工肉は健康にいいのか?


近年、健康のために食生活を菜食主義に切り替える人が増えたことに加え、動物の搾取を否定するヴィーガニズムの高まりから、「Beyond Burger」や「Impossible Burger」をはじめとする植物由来の人工肉の需要が急増しています。「植物由来」と聞くと健康によさそうなイメージを持つ人もいるかもしれませんが、「果たして本当に植物由来の人工肉は健康にいいのか?」という疑問について、イギリス・ハートフォードシャー大学で栄養学を研究するリチャード・ホフマン氏が解説しています。

Plant-based burgers: should some be considered 'junk food'?
https://theconversation.com/plant-based-burgers-should-some-be-considered-junk-food-163514

ホフマン氏は、「人工肉の多くは主に植物から作られていると主張していますが、他の超加工食品と大差ありません」と指摘。超加工品食品とは、スナックやアイスクリーム、冷凍食品、キャンディー、エナジーバー、加工肉といった、塩分・砂糖・油・脂肪などの添加物を多く含んだ食品のことです。「人工肉には多くの場合、タンパク質分離物・乳化剤・結合剤、その他の添加物など、超加工食品と同じ成分が多量に含まれています。また、工業的な加工方法を使用して製造されているため、超加工食品とみなすことができます」と、ホフマン氏は述べています。

超加工食品は肥満・2型糖尿病・がん・その他の慢性疾患との関連が指摘されており、これは栄養価の低さや合成添加物、繊維質の不足といった要因が複合的に作用した結果とみられています。超加工食品を食べることが死亡リスクの増加につながるとの研究結果や、超加工食品を食べると染色体の端にあるテロメアが短くなるとの研究結果も報告されていますが、超加工食品は入手が容易でつい食べ過ぎてしまいやすいことから、アメリカ・イギリス・オーストラリア・カナダでは人々の摂取カロリーのうち半分かそれ以上を超加工食品が占めているとのこと。

by Phoua_Vang

植物由来の人工肉が現れたのは近年のことであるため、実際に人工肉にも多くの超加工食品と同様の健康リスクが存在するかどうかは、まだはっきりしていないそうです。しかし、人工肉は懸念を引き起こす成分を含んでいるとホフマン氏は指摘しています。

◆大豆タンパク質濃縮物
植物由来の人工肉の多くは大豆タンパク質濃縮物を主なたんぱく質源としていますが、大豆タンパク質濃縮物にはベーコンに匹敵するほどの亜硝酸塩含まれているとのこと。ベーコンやソーセージには防腐剤として亜硝酸塩がよく使われますが、亜硝酸塩には体内での発がん物質の生成に関与している可能性が指摘されており、ベーコンなどの加工肉を食べると大腸がんのリスクが高まるともいわれています。また、亜硝酸塩は腎臓病や2型糖尿病、呼吸器疾患などを含む慢性疾患のリスク増加にも関連しているとのこと。

ヘム
ヘムとは血液中のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに含まれる分子であり、肉に特有の色や味を生み出すために人工肉に使われることがあります。ところが、ヘムは亜硝酸塩と反応して、より有害な「Nitrosyl-heme(ニトロシルヘム)」という物質を生成してしまうとのこと。植物由来の人工肉でも、他の加工肉と同様に反応が起きるのかどうかは不明ですが、ヘムと亜硝酸が一緒に含まれた人工肉には懸念があるとホフマン氏は述べています。

メチルセルロース
多くの植物由来の人工肉には、肉のような食感を作るための安定剤および乳化剤として、メチルセルロースが使用されています。しかし、このメチルセルロースはマウスを使った実験によって、腸内細菌叢を変化させて炎症を増加させることが示されています。これらの変化は結腸がんのリスクを増大させる可能性がありますが、人間における影響はまだ不足しているそうです。

by Ted Eytan

これまでのところ、植物由来の人工肉を食べることと大腸がんまたは他の慢性疾患のリスクとの関連について、人間を対象にした研究によって証拠が示されたことはないとのこと。また、人工肉に使用される新たなタイプのヘムについての安全性試験も行われましたが、これはヘム単体で行われたものであり、亜硝酸塩やその他の添加物との相互作用が発生しうる現実の状況とは違うものだったそうです。

植物由来の人工肉を食べようとしている人の中には、「人工肉の潜在的なリスクは環境や動物福祉に対する懸念と相殺できる」と考えている人もいるかもしれません。しかし、健康への懸念がある場合、「より持続的な方法で飼育された動物の肉を選択する」「豆類をうまく料理に取り入れて高タンパクかつ環境への影響が少ない食事を作る」といった方法もあるとホフマン氏は述べています。

もっとも、人工肉が健康に悪影響を及ぼすという証拠もないため、人工肉を食べることがリスクとなると確定しているわけではありません。人工肉市場は新しい分野であることから、まだ研究が進められている段階であり、健康に影響がないことが実証された人工肉が登場する可能性もあります。しかしホフマン氏は、「これらの製品のいずれかを購入することを考えている場合は、最初に成分リストを確認し、超加工食品と大差のない成分を摂取するリスクがあると知っておく価値があるかもしれません」と述べました。

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in サイエンス,   , Posted by log1h_ik

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