植物性の人工肉は「ドッグフード並に」超加工されているとの主張


原料に牛や豚といった動物の肉を使っていないにも関わらず、まるで本物の肉のような味・香りを楽しめる「代替肉/人工肉」が世に広まってきています。しかし、このような人工肉はドッグフードのように超加工された模造品であり、不健康だと指摘するキャンペーンが開始されました。

5 Chemicals Lurking in Plant-Based Meats - Center for Consumer Freedom - Center for Consumer Freedom
https://www.consumerfreedom.com/2019/05/5-chemicals-lurking-in-plant-based-meats/

Fake Meat vs. Real Meat - The New York Times
https://www.nytimes.com/2019/12/03/well/eat/fake-meat-vs-real-meat.html

Plant-based burgers are “ultra-processed” like dog food, meat-backed ads say | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2019/12/plant-based-burgers-are-ultra-processed-like-dog-food-meat-backed-ads-say/

ニューヨーク・タイムズの報じるところによると、 非営利団体のCenter for Consumer Freedomは過去数週間にわたってニューヨーク・タイムズ、USA Today、ウォール・ストリート・ジャーナルといった新聞で反人工肉の全面広告を展開しているとのこと。新聞広告では「あなたが食べている植物ベースの肉には何が隠されているのか?」「ベジタリアンバーガー?それともドッグフード?」といった問いかけが行われました。Center for Consumer Freedomの代表であるWill Coggin氏は、2019年5月に発表された研究で超加工肉が体重増加と関係していると示されたことにも言及しています。

by allybally4b

「Impossible Burger」のような人工肉の人気は近年めざましく、マクドナルドケンタッキーバーガーキングも積極的に人工肉をメニューに取り込んでいます。植物ベースの人工肉がどのような食べ物なのかは、以下の記事を読めばわかります。

肉の風味・味・食感を分子レベルで再現した人工肉「Beyond Burger」と「Impossible Burger」を実際に焼いて食べたらすごかった - GIGAZINE


人工肉は食肉市場の売上げと利益を奪う可能性があるとみられており、これに対し食肉最大手のタイソン・フーズは人工肉・代替肉市場に進出することを発表しています。人工肉にネガティブな印象を与える今回の広告キャンペーンは、これとは違った形の食肉産業による戦略だとみられています。

実際のところ、人工肉が本物の肉よりも健康的であるかどうかは微妙な問題であり、肉の食べ方や頻度などによっても異なるといわれています。人工肉はキャノーラ油、精製ココナッツオイル、ココアバターなどを含み、心疾患リスクを増加させるといわれる飽和脂肪酸を多く含むほか、製造過程でナトリウムが多く使用されます。近年の研究では超加工食品が肥満・メタボリックシンドロームといった健康問題と関連していると指摘されており、人工肉もまた超加工食品として健康上の問題が指摘されているわけです。

ただし、健康問題と超加工食品の関係は完全に理解されているわけでなく、食品の栄養素に加え、人のライフスタイルや嗜好(しこう)性などとの関連性も疑われています。また、「超加工食品」の定義がないことも、研究に混乱を生み出す問題の1つ。一般的に超加工食品は「清涼飲料水、クッキー、キャンディ、スナック、アイスクリーム、朝食用シリアル、冷凍食品」といった「多成分で工業的に作られているもの」といわれていますが、近年の食品産業はより洗練されたものとなっており、新たな定義付けが必要とのこと。なお、アメリカ国立衛生研究所が行った(PDFファイル)超加工食品の研究対象に、人工肉は含まれていませんでしたが、Coggin氏はこの点について言及していません。

by ponce_photography

一方で、Impossible FoodsのCEOであるPat Brown氏は「Impossibleバーガーが健康的だと消費者を説得することが私たちのゴールではありません」と語っており、牛を使ったバーガーよりも、植物性の人工肉の方が「地球にとって、そしてあなたにとっていい選択肢である」と述べているにとどまります。また、Brown氏は食肉産業からのネガティブキャンペーンを自分たちが成功することの現れだとみているとも、ニューヨーク・タイムズに語っています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
肉の風味・味・食感を分子レベルで再現した人工肉「Beyond Burger」と「Impossible Burger」を実際に焼いて食べたらすごかった - GIGAZINE

動物肉を使ってないのに肉汁滴り肉のうまみが感じられる人工肉「Beyond Meat(ビヨンド・ミート)」バーガーを食べてみた - GIGAZINE

肉そのものの味・香りなのに牛肉不使用の「Impossible Burger」を製造する工場に潜入したムービー - GIGAZINE

「植物由来の人工肉は健康に悪い」と指摘される理由とは? - GIGAZINE

「100%植物由来の人工肉」に続き植物由来の人工魚肉「Fishless Fish」が開発中 - GIGAZINE

in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.