Instagram投稿の表示基準やランク付けの仕組みを公式が解説
写真や動画の投稿をメインとしたSNSのInstagramは世界的に人気の高いプラットフォームですが、使用しているとなぜか頻繁に表示されるコンテンツに出会ったり、ふいに投稿した写真がなぜか多くの閲覧数を稼いだりするものです。そんなInstagramに関する「なぜ」を解き明かすために、公式が「Instagramを支えるアルゴリズム」について解説しています。
Shedding More Light on How Instagram Works
https://about.instagram.com/blog/announcements/shedding-more-light-on-how-instagram-works
Instagramを支えるアルゴリズムについて解説しているのは、同社のアダム・モセリCEOです。モセリCEOによると、Instagramのアルゴリズムに関する最も大きな誤解のひとつが、「Instagramにはユーザーが何を見て、何を見ていないかを監視するようなアルゴリズムが存在する」というものだそうです。モセリCEOは「この種のアルゴリズムは存在しません」とはっきり否定。続けて、Instagramではそれぞれ独自の目的を持った複数のアルゴリズムや分類器、プロセスを使用することで、各ユーザーにパーソナライズしたサービスを提供していると述べました。
2010年のサービススタート当時、Instagramは時系列に写真が並んだだけのプラットフォームでした。しかし、より多くのユーザーがInstagramを使用するようになったことで、ユーザーがすべての投稿をチェックすることが難しくなり、それぞれのユーザーに見せるコンテンツを取捨選択する必要性が出てきたそうです。実際、2016年までのユーザーはフィード内の投稿の70%を見逃していたそうで、よりユーザーが興味関心を抱くような投稿をフィードに表示するために、Instagramは投稿をランク付けするためのアルゴリズムを導入することに決めたとのこと。
なお、Instagramの主要な機能は「フィード&ストーリーズ」「検索&発見」「リール」の3つであり、ユーザーが各機能を使う目的はそれぞれ異なるため、「3つの機能はユーザーの使い方に合わせ、それぞれ独自のアルゴリズムを採用しています」とモセリCEOは説明しています。
◆フィード&ストーリーズ
フィードとストーリーズはInstagramのメイン機能で、友人や家族などの最も親しい人が投稿したコンテンツをチェックすることを目的としています。このフィード&ストーリーズでは、前述の通りランク付けアルゴリズムを採用しているのですが、それがどのように機能するかについては「複数のステップに分けることができる」とのこと。
ランク付けの最初のステップは、「ユーザーがフォローしているユーザーのコンテンツ」であるか否かです。いくつかの例外はあるものの、基本的にフィード&ストーリーズに表示されるのは「ユーザーがフォローしているユーザーのコンテンツ」です。
次に、投稿をユーザーの好みに基づき分類します。分類は「投稿された時刻」から「ユーザーが写真を好むか動画を好むか」、「動画を好む頻度はどの程度か」など、あらゆる種類の情報をベースに行われます。なお、フィード&ストーリーズにおいては、大まかに「投稿に関する情報(投稿の人気の高さなどを測定)」→「投稿者情報(ユーザーにとってどの程度関心の高い相手なのかを測定)」→「ユーザー情報(ユーザーの好みを把握するための指標)」→「ユーザーの過去のやり取り履歴(特定の相手の投稿にどの程度関心を持っているかを測定)」といった順に情報が重視されているそうです。
これらに基づくランク付けが行われたのち、ユーザーがいいねをしたりコメントをしたりと、何らかのアクションを起こす可能性の高い投稿を選別します。
その後、最後に同一人物の投稿が連続して表示されないようにするなどの考慮事項を参考に、フィード&ストーリーズに表示される投稿が決定されます。
◆検索&発見
検索&発見は新しいものを発見するのに役立つよう設計されています。検索&発見の画面では写真や動画コンテンツの中から、ユーザーにおすすめのものを正方形のサムネイルで表示しています。フィードやストーリーズではフォローしている相手の投稿が表示されますが、検索&発見ではフォローしていないアカウントの投稿も表示されるという点が大きく異なります。
検索&発見においてもアルゴリズムはまず投稿をランク付けし、ユーザーが興味関心を抱くであろうコンテンツを分類します。具体的には、過去の「いいね」や「保存」、あるいは過去にコメントを寄せた投稿などからユーザーの趣味嗜好を調べるわけです。例えば、特定の飲食店の写真を「いいね」したユーザーの検索&発見画面に表示するコンテンツは、「同じ飲食店の写真を好きなユーザー」を調査し、「そのユーザーが気に入っている他のアカウント」を調べ、そこから興味を持つであろう投稿を選んでいるそうです。
こういった作業を繰り返す中で「ユーザーが興味を持つ写真や動画のグループ」を見つけたなら、そのグループに類するコンテンツを「ユーザーが興味を持つであろう順番」に並び替え、検索&発見画面に並べます。「ユーザーが興味を持つであろう順番」は、「ユーザーがその投稿に何かアクションを取る可能性を予測すること」から推測するそうです。
なお、検索&発見においてアルゴリズムは「投稿に関する情報(投稿へのいいねの数やコメントの数など)」→「投稿者とのやり取り履歴(投稿主と過去にコミュニケーションを取ったことがあるか否かなど)」→「ユーザーの活動(ユーザーが過去にいいねしたりコメントしたりしたものに関する情報)」→「投稿者情報(投稿主に関する情報)」の順に情報を重視します。そのため、フィード&ストーリーズで重視される順番とは異なります。
この他、コミュニティガイドラインに基づいた検索に表示されやすい投稿をするためのガイドラインも存在しています。
◆リール
「リール」は15~30秒ほどの短尺動画を共有できる機能で、スタンプやペイント、音楽、ARエフェクトなどを追加して動画を彩ることも可能です。リールはユーザーを楽しませるために設計されており、検索&発見画面と同様にユーザーがフォローしていないアカウントの投稿が多数表示されます。そのため、リールは検索&発見とよく似たプロセスを経てコンテンツを表示しているとのこと。ただし、リールでは特に「ユーザーを楽しませるもの」に焦点が当てられているため、開発チームはユーザーが特定のリールを面白いと思うか面白くないと思うかに関するフィードバックを収集し、小規模なクリエイターにまで目を向けてユーザーを楽しませるコンテンツを分類しているそうです。
リールにおいて重視される情報は、「ユーザーの活動(ユーザーが過去にどのリールを気に入ったかに関する情報)」→「投稿者とのやり取り履歴(投稿主と過去にコミュニケーションを取ったことがあるか否かなど)」→「リールに関する情報(リールへのいいねの数やコメントの数など)」→「投稿者情報(リールの投稿主に関する情報)」の順だそうです。
なお、リールでは低解像度のリールや透かし入りのリール、政治的な問題に焦点を当てたリールなどは、推奨されていないためアルゴリズムに関係なくおすすめとして表示されにくい傾向にあります。
この他、モセリCEOはInstagramによる「シャドウバン」についても説明しています。
シャドウバンとは、望ましくないアカウントや投稿をプラットフォーム上のおすすめや検索結果に表示しにくくするという規制措置です。これについて、モセリCEOは「人々から『Instagramがシャドウバンをしている』と非難されることがあります。しかし、シャドウバンという単語はInstagram上で広く機能するアルゴリズムを正しく説明したものではありません」と語っています。Instagramがどのようなコンテンツをおすすめとして推奨し、どのようなコンテンツをガイドラインに沿わないものとして扱うのかを正しく知れば、「自身の投稿がなぜあまり閲覧されなくなったのか?」などが理解できるようになるはずとモセリCEOは説明しています。
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