InstagramとTwitterは「差別的な削除」をしているとの主張
民族間の激しい対立が続くイスラエルの首都エルサレムで、パレスチナ人家族らが入植者から立ち退きを要求される事態が発生。これに端を発する摩擦は300人以上の負傷者を出す激しい衝突へと発展しました。この問題を訴えたInstagramとTwitterの投稿が削除されたのは不当な差別であるとの共同声明を、20を超える非営利団体が連名で発表しました。
Instagram, Twitter blame glitches for deleting Palestinian posts | Reuters
https://www.reuters.com/article/israel-palestinians-socialmedia-idUSL8N2MU624
Twitter Said It Restricted Palestinian Writer's Account by Accident
https://www.vice.com/en/article/qj8b4x/twitter-said-it-restricted-palestinian-writers-account-by-accident
イスラエルのシェイク・ジャラー地区に住むパレスチナ人が、同地区に入植したユダヤ人らに立ち退きを要求されている問題で、多くのパレスチナ人が抗議を表明する動画や写真をSNSに投稿しています。しかし、InstagramやTwitterでは、そうした投稿が削除されたり、投稿者のアカウントがブロックされたりする問題が多発しているとのこと。
by Lior Bakalu
SNSに特化した非営利団体の7amlehには、シェイク・ジャラー地区に関する投稿が削除されたという苦情が、これまで200件以上も寄せられているそうです。
7amlehでアドボカシーアドバイザーを務めるMona Shtaya氏は、ロイター通信の取材に対し「Instagramでは、最近のシェイク・ジャラー地区問題に言及するほとんどのコンテンツが削除されたばかりか、古い記事のアーカイブまで消されてしまいました。また、Twitterではアカウントが凍結されました」と述べました。
Instagramはこれについて、「今回のような事態が発生したことを大変遺憾に思います。自分たちの声やストーリーが故意に抑圧されたと感じた方がおられますが、そのような意図は一切ありませんでした」とコメント。2021年5月上旬の自動アップデートにより、エルサレムやコロンビア、北米の先住民族コミュニティに関する動画が、誤って消えたように見えたのが原因だと説明しました。
また、Twitterの広報担当者はIT系ニュースサイトのMotherboardに対し、「誤ったアカウントに対して強制措置が講じられましたが、これは後に取り消されました」とコメントしました。Instagram及びTwitterは、この問題はすでに解決済みであり、削除されたコンテンツも復活しているとしています。
しかし、被害を受けたパレスチナ人らは、プログラムの欠陥だったという説明に納得していません。7amlehやAccess Nowなど、デジタル権を専門とする複数の非営利団体は連名で、「透明で一貫性のあるモデレーションポリシーを採用し、コンテンツが削除された場合はそれをオープンにすること」を求める共同声明を発表しました。
Access Nowの中東・北アフリカ担当ポリシーアドバイザーであるMarwa Fatafta氏は、「システムの不具合はもはや言い訳として認められません。私たちは、両ソーシャルメディアで行われたこの検閲について、明確な説明を求めています」と話しています。
また、トルコ在住のパレスチナ人ジャーナリストであるHind Khoudary氏はロイター通信に対し「5月7日ごろ、自分のInstagramのアーカイブにある、シェイク・ジャラー地区問題のコンテンツが読み込まれないことに気付きました。翌日の午後には一部の投稿が復元されましたが、4月ごろの投稿などはまだ消えたままです」と証言しています。
こうした問題について、電子フロンティア財団で表現の自由を担当しているジリアン・ヨーク氏は、「企業は、パレスチナのように自分たちにとって利益が少ない文化には十分な関心を払っていません。その結果、InstagramやFacebook、Twitterなどでは削除基準に違反していないコンテンツが、自動化されたツールにより消されてしまうことがあります」と述べました。
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