サイエンス

カフェインの眠気解消効果は「タスクの種類次第」との研究結果、一体どんな仕事はカフェインの効果が薄いのか?


起床時や、仕事や勉強に取りかかる前などに、眠気覚ましとしてコーヒーを飲んでいるという人は多いはず。これまでの研究により、コーヒーなどに含まれるカフェインには、「認知能力への悪影響を減らす効果」や「記憶力をアップさせる効果」があることが確かめられています。しかし新たな研究により、「カフェインがもたらす認知機能の改善効果は作業の内容によって異なる」ことが分かりました。

Caffeine selectively mitigates cognitive deficits caused by sleep deprivation - PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34014758/

Can caffeine cure sleep deprivation? | MSUToday | Michigan State University
https://msutoday.msu.edu/news/2021/caffeine-and-sleep


人が睡眠不足になると、注意が散漫になり、それが原因でさまざまな認知機能が低下します。ミシガン州立大学で精神医学を研究しているキンバリー・フェン氏らの研究チームは、睡眠不足がもたらす注意力低下にカフェインがどのような影響を与えるのかを検証するため、276人の参加者を集めて実験を行いました。

研究チームはまず、全参加者にシンプルな「反応テスト」と高度な「プレースキーピングテスト」の2種類をやってもらいました。反応テストとは、精神運動覚醒検査(PVT)と呼ばれるもので、画面に文字が表示されたらボタンを押すという単純な検査です。一方プレースキーピングテストは、所定のタスクを適切な順番でこなすことが求められる、比較的複雑な内容の検査でした。

その後研究チームは、参加者を無作為に2つのグループに分けて、一方のグループには自宅に帰って普通に眠ってもらい、もう一方のグループには実験室内で徹夜してもらいました。そして、翌日各グループに200mgのカフェインかプラセボ(偽薬)が入ったカプセルを与え、再度2種類のテストを実施しました。


その結果、睡眠不足になった参加者は両方のテストの成績が落ちたものの、カフェインを摂取した場合は「反応テスト」の結果が改善したことが確認されました。しかし、「プレースキーピングテスト」のパフォーマンスは、カフェインを摂取してもしなくても、ほとんど変わらなかったとのことです。

この結果からフェン氏は、「カフェインは眠気を覚まして作業に集中する能力を高めますが、医療ミスや交通事故の原因となる『手順ミス』を防ぐ効果はあまりありません。もしカフェインで『手順ミス』が減らせるとしたら、医師やパイロット、警察官など十分な睡眠がとれない状況で危険なタスクを行わなければならない人にとっては朗報だったはずですが、今回の結果はむしろ睡眠の大切さを改めて強調するものとなりました」と話しました。

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in サイエンス,   , Posted by log1l_ks

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