カフェインに記憶力をアップさせる効果があることが判明
By Ahmed Rabea
試験前にコーヒーを飲みながら勉強に励んだという経験を持つ人も多いと思いますが、このコーヒーを飲むという行為は学習効果を高めるのに理にかなった方法のようです。アメリカの研究者は、コーヒーに含まれるカフェインに記憶を強化する効果があることを明らかにしています。
Post-study caffeine administration enhances memory consolidation in humans : Nature Neuroscience : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/ncurrent/full/nn.3623.html
Should you drink coffee before or after a learning task? | The Curious Wavefunction, Scientific American Blog Network
http://blogs.scientificamerican.com/the-curious-wavefunction/2014/01/14/should-you-drink-coffee-before-or-after-a-learning-task/
これまで、「カフェインを摂取することで記憶力が高まる」という経験則にもとづく主張がありましたが、この効果については否定的な意見が多数派でした。経験則から来るカフェイン記憶力増強説は、コーヒーなどのカフェイン入りの飲料を飲むのが試験前など学習意欲がある状態であるため、記憶力の向上効果がカフェインによるのか、それとも被験者のモチベーションによるのかを切り分けて判断することが難しいという欠点があり、なかなかカフェインの効用を証明する研究成果は出ていませんでした。
カフェインが記憶に与える効果について研究するアメリカのジョンズ・ホプキンス大学のマイケル・ヤッサ博士は、モチベーションによる因子を排除するため、被験者に研究目的を明かすことなく実験に参加してもらいました。実験の内容は、以下のムービーで説明されています。
Coffee Time? How Caffeine Can Boost Your Memory - YouTube
160人の被験者は、イスやあひるの人形など日常生活になじみのあるイメージ画を見せられ、それから24時間後にどれだけイメージ画を記憶しているかについてチェックされました。
ヤッサ博士は、被験者を半数ずつにグループ分けし、一方のグループにはイメージ画を見せた後にカフェイン入りのコーヒーを、もう一方のグループにはカフェインが入っていないプラシーボ(偽薬)を飲ませ、カフェインの影響度を調べることに。
翌日、被験者に、前日と同じものを含むさまざまなイメージ画を見せ前日のイメージ画と同じものを選択させると、前日のものとまったく同じイメージ画についてはコーヒーグループ・プラシーボグループともに同様の正解率でしたが、わずかに異なるイメージ画については、コーヒーグループの方が正確に違いを区別するという結果が出ました。
ヤッサ博士は、今回の実験から、カフェインによって長期記憶が強化されると結論づけており、また、イメージ画のわずかな違いを区別できたことから、カフェインはパターン分離をつかさどる海馬に影響を与えているのではないかと推察しています。
なお、今回の研究では、パターン分離能力を高めるカフェインの量についても調べられており、およそ200mgのカフェインを摂取すれば記憶の定着に効果があるとのこと。200mgのカフェインは、濃いめのコーヒー1杯で摂取できる量です。
ヤッサ博士は、カフェインが記憶に与える影響を明らかにするにはさらに研究を続ける必要があり、そのメカニズムについてはまったく分かっていないため今後の研究が待たれるとしています。
いよいよセンター試験が近づき受験シーズンが最盛期を迎えますが、試験勉強の合間に飲むコーヒーは、気持ちを落ち着かせるだけでなく学習効果を高める上でも意味がありそうです。
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