サイエンス

カフェインを摂取する代わりに「軽い有酸素運動」をすることでワーキングメモリをブーストできるとの研究結果


朝起きたらまずは眠気覚ましのコーヒーを飲み、頭をシャキッとさせて1日をスタートするという人もいるはず。ところが、コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインにはメリットだけでなくデメリットもあることが指摘されています。一方、「コーヒーを飲む代わりに軽く運動することで、カフェインを摂取した場合と同じメリットを得られる」と、カナダのウェスタンオンタリオ大学で心理学ベースの運動学について研究するAnisa Morava氏らが主張しています。

Effects of Caffeine and Acute Aerobic Exercise on Working Memory and Caffeine Withdrawal | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-019-56251-y

Coffee versus cardio: Can exercise offer the same mental boost as caffeine?
https://theconversation.com/coffee-versus-cardio-can-exercise-offer-the-same-mental-boost-as-caffeine-132162


コーヒーに含まれるカフェインには意識を覚醒させ、エネルギーや気分を高めるといったポジティブな作用がある一方で、一部の人々は不安が増加したり筋肉が震えたりといった副作用を経験するとのこと。また、カフェイン中毒には頭痛・疲労感・気分の落ち込みといった離脱症状があるほか、子どもや妊娠中の女性はカフェインの摂取量に制限を設けるべきだといわれています。そこでMorava氏らは、副作用なしでカフェインが持つメリットを得る方法として、「有酸素運動」が有効だと主張しています。

Morava氏らの研究室では、有酸素運動がもたらすさまざまな健康上の利点について研究しており、有酸素運動が認知力の尺度である「ワーキングメモリ」を改善するとの結果も示されています。ワーキングメモリとは、情報を一時的に保存しつつさまざまなタスクを完了する能力を指しており、学校や職場など日常生活と密接に関わる場面でのパフォーマンスに影響する能力です。ワーキングメモリの改善はカフェインの摂取によっても得られるため、Morava氏の研究チームはカフェインの摂取を有酸素運動に置き換えられるかどうかを調査しました。


研究チームは健康な成人を対象に、「20分間トレッドミルで活発に歩いた場合」と「小さなカップに注がれたコーヒー1杯分に相当する量のカフェインを摂取した場合」とで、ワーキングメモリに与える影響がどの程度違うのかを実験で確かめました。

実験の結果、中程度の有酸素運動を行った場合に見られるワーキングメモリの改善は、コーヒー1杯分のカフェインを摂取した場合と同程度であることが判明。つまり、コーヒーを飲んで頭をハッキリさせる代わりに有酸素運動を行うことで、コーヒーを飲んだ場合と同程度に認知能力を改善できるだけでなく、有酸素運動によるメリットも享受できることが研究から示唆されたとのこと。


カフェインと運動、そして認知能力に関する問題をさらに掘り下げるため、研究チームはカフェイン中毒の離脱症状が起きている人々にも焦点を当てました。研究チームは日常的にカフェインを摂取している人に対して12時間にわたってカフェイン摂取を控えてもらい、カフェイン中毒の離脱症状をわざと起こしてもらったとのこと。12時間のカフェイン断ちの後に研究室を訪れた人々は、疲労・集中力の低下・気分の落ち込み・やる気の欠如・頭痛といったカフェイン中毒の離脱症状を報告しました。その一方で、カフェイン中毒の離脱症状は被験者のワーキングメモリには影響しませんでした。

続いて研究チームは、カフェイン中毒の離脱症状を起こしている人々に、「20分間活発に歩く」というタスクを実行してもらいました。すると、興味深いことに活発な有酸素運動がカフェイン中毒の離脱症状を軽減させ、特に疲労と気分の低下を改善させることが判明しました。


一体なぜ有酸素運動がワーキングメモリを改善し、カフェイン中毒の離脱症状を緩和するのかという理由については、依然として調査が進められている最中だとのこと。以前の研究では、運動後に脳内の血流が増加したり、ニューロンの栄養となる神経栄養因子に加え、ドーパミンアドレナリンといったホルモンの放出量が増加することが、認知能力の向上に寄与している可能性も示唆されており、気分の向上もこうした脳内活動の結果かもしれないそうです。

「これらの調査結果は、昼休みに活発に散歩するといった簡単なタスクで、午後のエネルギーの落ち込みを解消できる可能性があることを示唆しており、励みになります」とMorava氏らはコメント。コーヒーの摂取を控えたい人は有酸素運動を行うことでカフェインのメリットを享受し、健康状態も改善できる可能性があると主張しました。

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in サイエンス,   , Posted by log1h_ik

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