コーヒーの香りには「嗅ぐだけ」で脳の働きを活発にする効果がある
By brian
挽きたてのコーヒー豆で淹れたコーヒーの香りは多くの人を魅了するものですが、なんとその香りには脳の働きを高める効果があることが研究によって明らかにされました。
The impact of coffee-like scent on expectations and performance - ScienceDirect
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0272494418302615
This Is Your Brain On Coffee: Beyond Health Benefits, Even the Smell of Coffee May Fuel Higher Test Scores | Stevens Institute of Technology
https://www.stevens.edu/news/your-brain-coffee-beyond-health-benefits-even-smell-coffee-may-fuel-higher-test-scores
Even Just The Smell of Coffee Could Actually Perk Up Your Brain, Study Shows
https://www.sciencealert.com/coffee-smells-are-enough-to-perk-up-the-brain
この研究は、アメリカのニュージャージー州にあるスティーブンス工科大学ビジネススクールの研究チームによるもの。実験は2段階に分けて実施され、コーヒーの香りの有無でテストの成績がどのように変化するのかが調査されました。
最初の実験ではまず、学生から選ばれた114人の被験者を2つのグループに分け、ビジネススクールの入試で広く用いられるテスト「GMAT」を回答させました。この時、片方のグループがいる部屋にはコーヒーの香りを漂わせ、もう片方は何も香らせない状態を作り出しています。
するとテストの結果は、コーヒーの香りに触れさせていたグループの方が「明らかな高得点」をたたき出していたそうです。またこの時、試験中に回答させたアンケートの結果からは、コーヒーの香りをかぐだけで「自分は良い成績を出せる」という自分に対する期待が高まっていたことも明らかにされているとのことです。この結果について研究チームは、「きっとうまくいく」と思うことで実際の成績もよくなるという、ある種の「プラシーボ効果」が生じていたものと考えています。
By fredenslund
調査を率いたAdriana Madzharov教授は「分析的タスクにおいて人々に良い結果をもたらしたのは、単にコーヒーの香りだけではありません。彼らは『うまくやれる』という風に考えており、それが良い結果に部分的に関連していたことが明らかにされました」と述べています。最初の実験の際に用いられたコーヒーは、カフェインやそのほかの刺激物を含まないもので、グループの70.4%がその香りに気づいていたとのことです。
次に行われた実験では、最初の実験には参加していない208人の被験者に対して質問を行いました。するとその結果、コーヒーの香りには「警戒感」や「活動的」なものを引き起こさせる効果があることが確認されたとのこと。一方で、花の香りを与えたグループや、香りそのものを与えなかったグループにはその効果は見られなかったそうです。
今回の調査は比較的小規模ではありますが、研究者に対して香りによる効果を理解する上で重要な情報を与えるものになるとのこと。実際にどのような仕組みで能力がブーストされるのかはまだ不明な点ばかりといえそうですが、「コーヒーの香りをかぐとスイッチが入る」というプラシーボ効果を自分に与える意味でコーヒーを飲むというのも、仕事前の1つの「儀式」として有効なのかもしれません。
・関連記事
カフェインに記憶力をアップさせる効果があることが判明 - GIGAZINE
諸説ある中で結局「コーヒーは健康にとって良いもの」なのか? - GIGAZINE
カフェインが最大限のパフォーマンスを引き出す摂取量を算出するアルゴリズムをアメリカ軍が開発 - GIGAZINE
カフェインはどうやって目覚まし効果を発揮するのか?アニメで解説 - GIGAZINE
ヒトが感じることができる10個の「ニオイのグループ」とは? - GIGAZINE
「コーヒーをたくさん飲む人は長生きする傾向がある」という研究結果 - GIGAZINE
利尿作用があるコーヒーや紅茶を飲んでも脱水症状にはならないのはなぜか? - GIGAZINE
・関連コンテンツ