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GoogleによるCookieレスの仕組み「プライバシーサンドボックス」が独占禁止法に違反すると司法長官が指摘


Googleはこれまでターゲティング広告に使用されてきたサードパーティーCookieを、ウェブブラウザのChromeから廃止する方針を明らかにしており、すでにこれに代わる「ユーザーのプライバシーを保護しつつも広告とユーザーの関連性を損なわず、自由でオープンなエコシステムをサポートすることができる」という新しいウェブ広告の仕組みとして「プライバシーサンドボックス」を提唱しています。しかし、このプライバシーサンドボックスが独占禁止法に違反する可能性があると報じられています。

Google’s Texas antitrust suit takes aim at Chrome’s Privacy Sandbox - The Verge
https://www.theverge.com/2021/3/16/22333848/google-antitrust-lawsuit-texas-complaint-chrome-privacy

Texas tacks advertisers' 'cookie' fight onto Google antitrust suit - POLITICO
https://www.politico.com/news/2021/03/16/texas-advertisers-antitrust-fight-google-476250

2019年8月、GoogleはサードパーティーCookieを用いたターゲティング広告に代わるよりプライバシーに配慮した広告の仕組みとして「プライバシーサンドボックス」を提唱しました。Googleは「ユーザーを同様の傾向や好みを持つ大規模なグループとして識別し、そのグループごとに異なる広告を配信する」という方法を提案しており、ここにFederated learningなどの機械学習アプローチを導入することで、ユーザーのプライバシーを保ったままそれぞれの趣向にあった広告が配信できるようになるとしています。

Googleが「ユーザー情報を保護しつつ広告の関連性も損なわない」仕組みの開発を行うと宣言 - GIGAZINE

by Pixabay

記事作成時点ではまだまだ多くの詳細が決まっていないプライバシーサンドボックスですが、「ユーザーを同様の傾向や好みを持つ大規模なグループとして識別し、そのグループごとに異なる広告を配信する」ための方法として、新しい広告APIの「FLoC」を発表しています。なお、GoogleによるとFLoCを使ったターゲティング広告は、Cookieベースのターゲティング広告の最低95%のパフォーマンスを実現することができるとのことです。

Googleが提案するサードパーティーCookieなしの新しい広告の仕組み「FLoC」とは? - GIGAZINE


そんなGoogleのプライバシーサンドボックスですが、イギリスの公正取引委員会が同システムについて調査を開始していたり、業界関係者から「プライバシーサンドボックスはオープンで相互運用されるテクノロジーをGoogleのコントロール下に置こうとするものです」と指摘されたりと、独占禁止法に違反するものではないかという疑いの目を向けられています。

Googleの考案する新たな「Cookieレスの仕組み」に独占禁止法違反の目が向けられている - GIGAZINE


これとは別に、2020年12月にアメリカ・テキサス州のケン・パクストン司法長官が「Googleはその力を利用して市場を操作し、競争を破壊し、消費者に危害を加えた」として、Googleを独占禁止法(反トラスト法)違反で提訴しました。

Googleがさらなる独占禁止法違反の訴訟に直面、今度はFacebookとの共謀の疑いも - GIGAZINE

by Ben Nuttall

当初、この訴訟はGoogleのプライバシーサンドボックスとはまったく関係のないところから始まったものだったのですが、現地時間の2021年3月16日に訴状が更新され、「Googleが検索やストリーミングビデオなどの市場で築いた独占的な立場を利用し、独立した広告プラットフォームを機能不全に陥れ、中小企業やメディアに対してGoogleの広告プラットフォームの使用を強いた」という主張が追加されました。

この追加された主張の中にはGoogleのプライバシーサンドボックスを批判する文言もあり、「Googleの新しいスキームであるプライバシーサンドボックスは、要するに消費者がGoogleのウェブブラウザであるChromeを介してインターネットにアクセスすることを強いるような仕組みです」と記されています。


サードパーティーCookieをブロックすることはプライバシー面では素晴らしいことかもしれません。実際、FirefoxやSafariといったブラウザはすでにサードパーティーCookieをブロックしています。しかし、ブラウザ市場で最もシェアの高いChromeがプライバシーサンドボックスのような仕組みを用いれば、広告主やその仲介者にChromeの使用を強制することにつながり、Googleの広告システムにおける独占はさらに強化されることになると、パクストン司法長官は主張しているわけです。

さらに、パクストン司法長官は「Googleはプライバシーを口実にして、その真意を隠そうとしています。Googleの本当の狙いは、ユーザーのプロファイリングやターゲティング広告を停止することではありません。Chromeを追跡とターゲティングの中心に据えることです」と述べ、Googleおよびプライバシーサンドボックスを批判しています。

これに対して、Googleは「パクストン司法長官の主張は、人々がウェブを閲覧する際のプライバシーを保護するためのプライバシーサンドボックスを含めた、我々のビジネスに対する多くの誤解を含んでいます。我々のプライバシーサンドボックスは、ユーザーのプライバシーを保護し、無料コンテンツを保護するための一歩であり、プライバシー擁護者や広告主、さらには我々の市場における競合者からも歓迎されています。Googleは法廷でパクストン司法長官の根拠のない主張から身を守るつもりです」と反論しています。

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in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by logu_ii

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