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Chromeは2年以内にサードパーティーCookieのサポートを廃止する方針

by Glenn Carstens-Peters

Googleの開発する「Chrome」や、Microsoftの開発する「Edge」は、オープンソースのウェブブラウザエンジンChromiumをベースとしたウェブブラウザです。Chromiumの開発に携わるJustin Schuh氏が、よりプライベートなウェブを構築するために、「将来的にサードパーティーCookieを廃止する予定」であることを明かしました。

Chromium Blog: Building a more private web: A path towards making third party cookies obsolete
https://blog.chromium.org/2020/01/building-more-private-web-path-towards.html

Googleはユーザーのプライバシー保護を向上させつつも広告の関連性を損なわず、自由でオープンなエコシステムをサポートするための新たなイニシアチブとして、「プライバシーサンドボックス」を提案しました。

Googleが「ユーザー情報を保護しつつ広告の関連性も損なわない」仕組みの開発を行うと宣言 - GIGAZINE

by Pixabay

「プライバシーサンドボックス」は、ユーザーのプライバシーを保護しながら、広告パブリッシャーをサポートすることを目的としたものとして、2019年8月に提案されました。その後、Chromiumはウェブ上のコミュニティと対話を行い継続的なやり取りとフィードバックから、「サードパーティーCookieのサポートを廃止することが健全なウェブ広告のサポートにつながる」という結論に達したそうです。

さらに、Schuh氏は「『サードパーティーCookieのサポートを廃止する』というアプローチがユーザー・(広告)パブリッシャー・広告主のニーズに対応するか確認し、次善策を講じたのちに、ChromeでのサードパーティーCookieサポートを段階的に廃止していく予定です」と明かしています。

加えて、「サードパーティーCookieのサポート廃止を、今後2年以内に実行することを計画している」とSchuh氏は語りました。そのためには新しいエコシステムが必要であると訴えており、コンバージョン測定からパーソナライズまでが可能な最初のオリジナルトライアルを、2020年末までに開始する予定としています。


Schuh氏は「ユーザーはデータの使用方法について透明性・選択肢・制御権などを得ることで、プライバシー面を強化することを求めており、こうした増大する要求を満たすにはウェブのエコシステムそのものを進化させる必要があることは明らか」と語り、ウェブブラウザだけでなくそれを支えるエコシステムそのものが変わる必要性があると訴えています。

なお、Schuh氏によると一部のウェブブラウザはサードパーティーCookieのサポートを廃止することに対して懸念を示しているそうです。主に、ユーザーとウェブのエコシステムの両方に、意図しない形で悪影響を及ぼす可能性があると指摘されており、サードパーティーCookieのサポート廃止が「ウェブ広告により成り立っている多くのウェブサイトのビジネスモデルを損なうこと」や「Cookieに代わる、プライバシー強化にはつながらないような回避策の普及」につながることが危惧されているとのこと。

しかし、幸いなことにウェブ技術の標準化団体であるW3Cのフォーラム上で、「プライバシーサンドボックス」の基礎となるメカニズムの主要なユースケースなどが示されており、サードパーティーCookieのサポートを廃止したとしても正しい方向に進むという肯定的なフィードバックが得られているそうです。また、Schuh氏はFlashNPAPIといった「段階的にサポートを止めていった技術」が既に存在するため、「サードパーティーCookieのサポートを廃止する」という複雑な課題を解決するための下地は十分にあると主張しています。

by Andras Vas

なお、Schuh氏はサードパーティーCookieについて、2020年2月からは「HTTPS経由でアクセスすること」を要求することで、クロスサイトトラッキングを制限する方針であることも明かしています。これにより、サードパーティーCookieがより安全になり、ユーザーがウェブブラウザ上のCookieをよりコントロールできるようになるとのことです。

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in ソフトウェア,   セキュリティ, Posted by logu_ii

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