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ロシアと中国が「国際科学月ステーション」の建設に合意、NASAの月軌道プラットフォームゲートウェイとは別の道を模索


2021年3月9日、ロシアと中国が「国際科学月ステーション」を共同建設するための覚書を交わしたことを、ロシアの国営宇宙開発企業であるロスコスモスが発表しました。

Роскосмос. Россия и Китай подписали меморандум о создании лунной станции - Новости - Госкорпорация ≪Роскосмос≫
https://www.roscosmos.ru/30248/


Russia turns away from NASA, says it will work with China on a Moon base | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2021/03/china-and-russia-say-they-will-work-together-to-build-a-lunar-station/

Russia partners with China for lunar space station - The Verge
https://www.theverge.com/2021/3/9/22321114/lunar-moon-space-station-russia-china-agreement-nasa

ロシアはNASAが主導する月に有人の宇宙ステーション(ゲートウェイ)を建設することを目的とした月軌道プラットフォームゲートウェイに参加するか否かについて、長らく議論を続けてきました。ロシアは最終的にNASAと協力する道をあきらめ、中国と協力してゲートウェイとは異なる宇宙ステーションを月に建設することを選びました。

ロシアと中国が共同建設する国際科学月ステーションについて、ロスコスモスは「月面もしくは月軌道上に作成される、実験研究施設の複合体」と説明しています。また、ロシアと中国による国際科学月ステーションは、「月面に人が存在することを可能にする」「長期の無人運転も可能にする」「さまざまな研究実験をサポートする」ように設計されるとのこと。


NASAが月軌道プラットフォームゲートウェイの建設で協力を求めているのと同じように、中国も国際科学月ステーション建設のために国際的な支援を求めてきました。中国は月の裏側に初めて着陸した「嫦娥4号」を筆頭に、宇宙開発で独自の実績を上げています。嫦娥4号は月の裏側で謎のゲル状物体を発見したり、月の裏側から見た月と地球の写真を撮影したりしています。

中国の無人探査機「嫦娥4号」が世界で初めて月の裏側に着陸 - GIGAZINE


中国における民間宇宙開発を主導する中国国家航天局の張克倹局長と、ロスコスモスのドミトリー・ロゴージンCEOが覚書を交わした瞬間は、ロスコスモスの公式YouTubeチャンネル上で公開されています。中国国家航天局によると、今回の覚書は「国際航空宇宙コミュニティへのプロジェクト推進を含む、科学研究ステーションプロジェクトの計画・実証・設計・開発・実施・運用を求める独自の月面宇宙ステーションの共同開発に光を当てている」とのことです。

Россия и Китай подписали меморандум о создании лунной станции - YouTube


ロシアは数十年にわたって国際宇宙ステーション(ISS)の運用でNASAとのパートナーシップを維持してきましたが、アメリカとの宇宙開発における提携を月にまで拡大することについては「消極的でした」とニュースメディアのThe Vergeは指摘しています。具体的には、ロスコスモスはNASAの「月軌道プラットフォームゲートウェイでロシアにエアロックを提供する」という提案に対して、「非現実的である」と2020年12月に批判していました。


NASAは月の開発を進めるために、人類を再び月面に送る「アルテミス計画」を進めています。アルテミス計画を念頭に提唱された、月や火星の宇宙探査や宇宙利用に関する基本原則を定めた国際的な合意である「アルテミス合意」には、すでにアメリカ・日本・カナダ・イギリス・イタリア・オーストラリア・ルクセンブルク・アラブ首長国連邦・ウクライナの9カ国が合意しています。

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なお、アルテミス計画の月面ミッションで用いられることとなる月軌道プラットフォームゲートウェイは、元は「Deep Space Gateway(ディープスペース・ゲートウェイ)」と呼称されていたもの。月の探査だけでなく火星を目指す上でも重要な拠点となることが期待されている月軌道プラットフォームゲートウェイについては、以下の記事にその詳細がまとめられています。

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また、中国はフランスの宇宙開発機関であるフランス国立宇宙研究センター(CNES)と会談を行ったことが明らかになっています。この会談について、CNES側は「CNESと中国国家航天局が二国間宇宙協力の状況確認を行った」「月と火星の探査で協力するための、他の潜在的な分野について話し合った」と述べています。

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in メモ,   動画, Posted by logu_ii

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