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「電話恐怖症」になってしまう理由と治し方を心理学者が解説


新型コロナウイルスのパンデミックに伴って、対面で話すよりも電話や通話アプリを介したやり取りが増えていますが、電話に対して極度のストレスを示す「電話恐怖症」の人もいます。イギリスのロイヤル・ホロウェイで心理学のティーチングフェローを務めるIlham Sebah博士が、人はなぜ電話恐怖症になってしまうのか、どうすれば電話恐怖症を克服できるのかを解説しています。

Phone call anxiety: why so many of us have it, and how to get over it
https://theconversation.com/phone-call-anxiety-why-so-many-of-us-have-it-and-how-to-get-over-it-155798

必ずしも電話が嫌いだからといって電話恐怖症であるわけではありませんが、近年では電話を嫌がる人が増加傾向にあります。イギリスのオフィス労働者を対象にした2019年の調査では、第二次世界大戦後~1960年代半ばに生まれたベビーブーマー世代の40%、1980年代前半から1990年代半ばに生まれたミレニアル世代の76%が「電話が鳴った時に不安を覚える」と回答しています。

電話恐怖症は電話が嫌いな人の中でも、特に電話に反応して特定の症状が出るケースを指しており、社交不安障害を持つ人に多くみられるそうです。代表的な症状としては、「電話に応答するのが遅れたり出られなかったりする」「電話の最中や前後に極度の不安や緊張を感じる」「自分の発言に執着・心配する」といった感情的なものや、「電話に反応して吐き気・息切れ・めまいがする」「心拍数が増加する」といった身体的なものがあるとのこと。


◆なぜ人は電話恐怖症になってしまうのか?
対面での会話はジェスチャーやボディランゲージ、アイコンタクトといった社会的な手がかりを含めたコミュニケーションである一方、電話は声だけを手がかりにしたコミュニケーションです。これにより、対面で話すことに問題がない人であっても、電話での会話が苦手になってしまうケースがあるそうです。

また、対面での会話はお互いに会話相手だけに集中しているわけではなく、周囲の環境や雑音、スマートフォンの通知といったものに気を取られることがあります。相手以外に集中がそれることは会話をカジュアルに感じることに役立ちますが、電話では相手の声以外に気を散らす外部要因がないため、常に自分がスポットライトを浴びているような気になってしまうとのこと。

近年ではテキストメッセージでのやり取りも一般化しており、電話恐怖症の人はテキストメッセージでのやり取りを好む傾向があるとSebah氏は述べています。テキストメッセージのやり取りでは、返信までに言い回しを考える時間的な余裕がありますが、電話は相手とリアルタイムでやり取りするため、わずかな沈黙をぎこちなく感じがちです。また、電話では返事をする前に「これまでのやり取り」を参照できないため、返事が衝動的で危険なものに感じる可能性もあります。


◆電話恐怖症を治すにはどうすればいいのか?
電話恐怖症の人はなるべく電話を避けるようになりますが、電話恐怖症を克服する最も効果的な方法は「より多くの電話に出ること」だとSebah氏は主張。電話恐怖症は経験不足に関連している可能性があるため、電話でのやり取りを行えば行うほど不安が減り、自信が持てるようになるそうです。このプロセスは「電話で話す必要がある人のリスト」を作成することから始め、電話の内容をシミュレーションし、通話が終わったら自分を認めることでモチベーションを維持できるとのこと。

また、専門家の助けを求めることも選択肢の1つであり、カウンセリングや会話療法を通して電話恐怖症を克服できる可能性もあるとSebah氏は述べました。

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in メモ, Posted by log1h_ik

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