警察官が勤務中の映像をネットにアップロードされるのを防ぐべく編み出した「秘策」とその効果は?
アメリカにあるビバリーヒルズ警察署で窓口応対している警察官の映像がInstagramにアップロードされたことをきっかけに、警察官が実践している「映像のアップロードを防ぐ方法」が話題を呼んでいます。
Is This Beverly Hills Cop Playing Sublime’s ‘Santeria’ to Avoid Being Live-streamed?
https://www.vice.com/en/article/bvxb94/is-this-beverly-hills-cop-playing-sublimes-santeria-to-avoid-being-livestreamed
アプリ開発者のセネット・デバーモント氏がInstagramに投稿した、ビバリーヒルズ警察署の警察官との会話を記録したムービーが以下。
ムービーを再生すると、スマートフォンを手にした警察官の映像と共に、パンクバンドのSublimeが1997年に発表した音楽である「Santeria」が大音量で流れます。
窓口には携帯電話の使用を控えるよう求める表示がありますが、警察官はお構いなしでスマートフォンを操作し、音楽の再生を続けました。
このムービーをアップロードしたのは、警察の活動や飲酒運転の取り締まり状況などの共有を目的にしたアプリ「Mr. Checkpoint」の公式Instagramアカウントです。映像を良く見ると「@alwaysfilmthepolice(常に警察を撮影しよう)」と書かれているのが分かるとおり、Mr. Checkpointやその開発者であるデバーモント氏は、警察官の様子を撮影してソーシャルメディアにアップロードする活動を展開しています。
このムービーを取り上げたIT系ニュースサイトのMotherboardは、警察官が音楽を再生していた理由について「もし、この警察官が1990年代のストーナーミュージックへの愛について市民と分かち合いたいと思っているのではないとしたら、これはソーシャルメディアによる著作権保護ポリシーを利用して、自分が撮影されるのを防ぐための戦術だと思われます」とコメントしました。
近年に入り、ソーシャルメディアは著作権侵害に対する規制を強化しており、2020年10月にはゲーム実況プラットフォームのTwitchが、「著作権法に違反した音楽を使用している」として大量の配信ムービーを削除しています。
Twitchが「著作権を侵害している」として大量の配信動画を削除 - GIGAZINE
各ソーシャルメディアはムービー中の音楽を自動検知するアルゴリズムを使用しているため、「市民が警察官の様子を撮影してソーシャルメディアにアップロードしても、著作権で保護された音楽を流しておけば著作権侵害で削除されてしまうだろう」というのがビバリーヒルズ警察署の警察官の狙いだとみられています。
MotherboardがこのムービーについてInstagramにコメントを求めたところ、Instagramは特定の投稿に対するコメントは辞退するとした上で「当社は映像に含まれる音楽の長さや曲数などを考慮しています」と回答しました。これを元に、Motherboardは「デバーモント氏のムービーに含まれている音楽は1曲だけで、偶然ムービーに入り込んだだけなので、問題はないだろう」との見解を示しました。事実、デバーモント氏のムービーは投稿から3日以上が経過した記事作成時点でも削除されていません。
また、Motherboardから問い合わせを受けたビバリーヒルズ警察署は「苦情や質問への対応中に音楽を再生するのは、当署が推奨している手順ではありません」と回答。問題のムービーについては「審査中です」と述べたとのことです。
・関連記事
「犯人追跡中の警察官が車両で黒人少年をひいた上に全く別の黒人少年たちを逮捕した」との報告 - GIGAZINE
現職の警察官が刑事のえん罪逮捕や暴行を内部告発するも完全に黙殺されて通話記録をすべて公開 - GIGAZINE
なぜ警察は同僚の不正行為を容認する傾向にあるのか? - GIGAZINE
殺人事件の被告人に「警察が使うDNA検査ソフトのソースコードをチェックする権利」が認められる - GIGAZINE
Twitchが「著作権を侵害している」として大量の配信動画を削除 - GIGAZINE
Twitchが著作権侵害でムービーを大量削除した件について謝罪 - GIGAZINE
・関連コンテンツ