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「OpenStreetMap」の道路情報の正確さを配車サービス「Lyft」が絶賛


アメリカやカナダで配車サービスを展開する「Lyft」は、サービス内のマップとしてオープンデータの地図プロジェクト「OpenStreetMap」を用いています。LyftはOpenStreetMapの道路情報の更新に貢献してきましたが、OpenStreetMapの道路情報がどれだけ正確なのかは把握していませんでした。そこで、LyftはOpenStreetMapの正確さを検証し、その結果と検証方法を解説しています。

How Lyft discovered OpenStreetMap is the Freshest Map for Rideshare by Clare Corthell and Mark Huberty | Lyft Engineering
https://eng.lyft.com/how-lyft-discovered-openstreetmap-is-the-freshest-map-for-rideshare-a7a41bf92ec

◆調査方法
地図の正確さを検証する方法として、全ての道路を手作業で測量するというアメリカ合衆国国勢調査局が10年ごとに行っている方法があります。しかし、この方法で調査を行うには、大量の人員が必要とのこと。実際に、アメリカ合衆国国勢調査局はアメリカの失業率に影響を与えるほど大量の測量士を雇用しています。

Lyftは300を超える地域でサービスを展開しており、全サービスエリアの道路を測量するには時間も経費もかかることから、コストを抑えながらOpenStreetMapの正確さを検証する方法を編み出す必要がありました。

そこで、Lyftは公衆衛生の分野で行われることが多い標本調査に着目。Lyftのサービスエリアから一部分を抽出して実際の道路情報を調査し、OpenStreetMapと照らし合わせることで、全サービスエリアでの正確さを統計的に求めることにしました。


さらに、Lyftは道路に足を運ぶ手間を省くために、道路上の風景写真と地図データを同時に提供するサービス「Mapillary」のデータを利用したとのこと。Mapillaryでは以下のように道路標識やレーン情報が鮮明に写った画像データを提供しているため、実際にその場に行かなくても道路の詳細な情報を得ることができます。


Lyftはこれらの調査方法を採用することで、たったの3カ月間で北アメリカ大陸全土に渡ってOpenStreetMapの道路情報の正確さを検証することに成功しました。

◆結果
Lyftによる調査の結果、北アメリカ大陸におけるOpenStreetMapの道路情報はかなり正確であることが分かりました。特に、道路の種類や方向、名前といった基本的な情報は95%以上の確率で正確な情報を提供していました。また、幹線道路の入口車線・出口車線や右左折制限といったナビゲーションに必要不可欠な情報も85%を超える確率で正確でした。


都市ごとの情報の正確さを表した図はこんな感じ。赤色で表された「道路の種類が正確である確率」と、青色で表された「道路の方向が正確である確率」は、ほとんどの都市で90%を超えています。それに対して、緑色で表された「レーンの本数が正確である確率」は、都市ごとにバラつきがあり、80%を超えることはありません。これについてLyftは「今回の調査では、OpenStreetMapには道路のレーン数のように正確でない情報も含まれていることが分かりました。この発見により、私たちはOpenStreetMapの情報改善のために適切な投資を行うことができます」と語り、OpenStreetMapの情報を正確にするべく貢献を続ける姿勢を見せています。


また、LyftはOpenStreetMapが新しい道路に対応する早さに関して、「マップの更新は干し草の中から針を探すような作業です。OpenStreetMapには情報を最新に保ち続ける素晴らしいコミュニティがあります」と述べ、コミュニティ全体を称賛しています。

Lyftは、「今回用いた調査方法は低コストかつ短期間で地図の正確さを検証することができます。この調査方法が他の地図に関する研究にも役立つことを願っています」と締めくくっています。

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in ネットサービス,   ウェブアプリ, Posted by log1o_hf

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