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地図サービスの王Googleマップをじわじわと追いかけるOpenStreetMap


1998年に検索エンジンとしてサービスをスタートさせ、大企業に成長したGoogleの所有するサービスの中で最も強力なものと言っても過言ではないのがGoogleマップです。Googleマップが地図検索サービスとして有能で便利であるのは疑いのない事実ですが、他の地図検索サービスの中で昨今注目を集めているものに「OpenStreetMap(オープンストリートマップ)」というサービスがあり、創設者であるスティーブ・コースト氏がThe Next Webのインタビューで、オープンストリートマップの長所や短所、今後の展望などについて語っています。

OpenStreetMap
http://www.openstreetmap.org/

The rise of OpenStreetMap: A quest to conquer Google’s mapping empire - The Next Web
http://thenextweb.com/insider/2014/02/28/openstreetmap/

オープンストリートマップはユーザーが自由に利用でき、かつ編集機能を使って世界地図を作成できる地図検索サービスです。地図サービスのWikipedia版に位置するオープンストリートマップとGoogleマップの決定的な違いはサービスから生み出される収益にあります。Googleマップが第三者からの利用料や広告料で莫大な収益を生み出しているのに対して、オープンストリートマップは第三者が自由に利用できる無収益型のサービスになっています。

オープンストリートマップは当時ロンドン大学に在籍していたコースト氏によって2004年に設立されました。コースト氏はロンドン大学を中途退学したものの、在学中にコンピューターサイエンスと物理学を学び、記事執筆現在は位置情報サービスを提供するTeleNavに勤めています。


コースト氏はオープンストリートマップを立ち上げた当初を振り返り「私がオープンストリートマップを開発したのはずいぶんと前になりますね。当初はオープンストリートマップに関するプロジェクトが3つあって、現在のオープンストリートマップのデザインはその中の1つから継承されているんです」と話しています。設立から10年が経過したオープンストリートマップはOpenStreetMap Foundation(OSMF)という団体によって運営されていますが、給料の発生している従業員はおらず運営は7人で行われています。

MapBoxCraigslistといったウェブサイトがGoogleマップではなくオープンストリートマップを使用するなど、近年Googleマップからオープンストリートマップに乗換える企業が増加しているとのこと。The Next Webは企業がGoogleマップではなくオープンストリートマップを利用し始めたのには「値段」と「質」という理由がある、としています。

By epSos .de

GoogleマップのAPIの料金は1000回の地図ロードにつき4ドル(約405円)でしたが、この値段を高すぎるとした大量のデベロッパーが、地図APIをオープンストリートマップに変更。それを受けてGoogleは、2012年にGoogleマップのAPIの料金を1000回の地図ロードにつき50セント(約50円)にまで値下げしましたが、SNSのFoursquareを初めとする大手プラットフォームの多くは、すでにオープンストリートマップに変更した後でした。

また、オープンストリートマップを使用する企業だけではなくサービスの登録者数も増加中。2005年から2014年1月までのオープンストリートマップのサービス登録者数のグラフを見ると、サービス登録者数は年々増え続け、2014年1月には150万人に達する勢いであることがわかります。


150万人にもなるユーザーからデータを集めて地図に反映させることについてコースト氏は「ユーザー数の少なかったころは、GPS機能を搭載したデバイスとカメラを持ってみんなそこら中をバイクで走っていて、帰宅したら走行記録を地図に起こすという作業の繰り返しでした。現在は航空写真を簡単に手に入れられるので、作業はかなり簡易化されました」と語っています。

オープンストリートマップの人気の1つに、Googleマップにも劣らない質の高さがあります。例えば、第22回冬季オリンピックが行われたロシアの「ソチ」を検索してみると、オープンストリートマップのほうがGoogleマップよりも情報量が多いことがわかります。

こちらはオープンストリートマップで「Sochi(ソチ)」を検索した結果。

大きな地図を表示

Googleマップで「ソチ」を検索するとこんな感じです。


上記の2つの地図を一見するとオープンストリートマップのほうが優れているように思えますが、コースト氏によるとオープンストリートマップには弱点があるとのこと。その弱点とは「住所データ」で、コースト氏が「優れた地図に必要不可欠である住所データに関して、オープンストリートマップは完璧であるとは言えません。特に海外の住所データにおいて問題は顕著に表れます」と述べる通り、例えばオープンストリートマップで日本の「郵便番号」を検索しても、郵便番号が登録されている地域は表示されません。

また、Googleマップにあってオープンストリートマップにない機能として「ストリートビュー」があります。コースト氏は「高画質の画像を使用するストリートビューは時間と費用がかかりすぎる」とストリートビューの導入には難色を示しており、今後導入されるどうかは未定です。

By Esparta Palma

Googleマップと比べると、優れている部分と劣っている部分が混在しているオープンストリートマップですが、登録者の数がうなぎ登りに増えているのは事実であり、今後も大きな成長を遂げる可能性があります。コースト氏も「私たちがゼロから開発したオープンストリートマップは、10年という期間で大きく成長しました。オープンストリートマップの長所には、たくさんの人が使うほど使用出来るデータの量が増えることにあります。データが増加すればサービスは充実し、より多くの人を引きつけ、これからも大きく成長していくはずです」とオープンストリートマップの未来には明るい展望が開けていることを強調しており、今後どういった方向に進んでいくのかこれからも注目が集まります。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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