沼地からほぼ完全な状態で見つかった甲虫が約4000年前に死んだものだったと判明
by Trustees of the Natural History Museum, London
イングランドの沼地からほぼ完全な状態で発見され、ロンドン自然史博物館で保管されていた甲虫を放射性炭素年代測定で調査したところ、なんと約4000年前に死んだ個体だったことが判明しました。
Perfectly preserved 4,000-year-old beetles uncovered | Natural History Museum
https://www.nhm.ac.uk/discover/news/2021/january/perfectly-preserved-ancient-beetles-uncovered.html
Perfectly-preserved 'bog beetles' nearly as old as Egypt's pyramids | Live Science
https://www.livescience.com/ancient-bog-beetles-england.html
ロンドン自然史博物館に保管されていた甲虫が発見されたのは1970年代のこと。イングランド東部に位置するケンブリッジシャーの農家が沼地に沈んでいたオークを切ったところ、中からほぼ完全な状態の甲虫を発見し、「外来種ではないか」と懸念して標本を送ってきたそうです。
送られてきた甲虫は「oak capricorn beetles」という種類であり、カミキリムシの一種であるCerambyxに属しています。oak capricorn beetlesは温暖な地域に生息する甲虫で、現在では南ヨーロッパや中央ヨーロッパに生息しているそうですが、イギリスには生息しない種だと考えられていました。
結局、oak capricorn beetlesは生態系にとって大きな脅威ではないものの、外来種なのは確かだと判断されたのか、ロンドン自然史博物館で標本として保管されることとなりました。以下の写真が、ロンドン自然史博物館に保管されているoak capricorn beetlesの標本です。2匹とも親指ほどの大きさであり、薄汚れてはいるものの、長い触角や足などがほぼ完璧に保存されています。
by Trustees of the Natural History Museum, London
博物館への寄贈から数十年が経過したある日、ロンドン自然史博物館で甲虫の学芸員を務めるマックス・バークレー氏は、アメリカの研究者と共に標本の放射性炭素年代測定を実施しました。oak capricorn beetlesの標本は発見されたオークの木片と共に保管されていたため、植物と動物で同じ結果が出るのかどうかを試すいい機会だったとのこと。「これは一種のロゼッタストーン的な瞬間です」と、バークレー氏はBBCに語っています。
測定の結果、oak capricorn beetlesと木材は3785年前のものであることが判明しました。バークレー氏は、「これらの甲虫はテューダー朝やローマ帝国の時代よりも古いものです。エジプトでファラオがピラミッドを建てていた時代に、これらの虫は木の内側をかじっていました。これは非常にエキサイティングです」と、甲虫が生きていた時代の古さを強調しています。
記事作成時点ではoak capricorn beetlesはイギリスに生息していませんが、かつて気候がもっと温暖だった時代にはイギリスでも生息しており、その後の寒冷化によってイギリスでは絶滅した可能性があるとのこと。なお、現代では地球温暖化が進行しているため、将来的にoak capricorn beetlesがイギリスに戻ってくるかもしれないとバークレー氏は指摘しました。
by Trustees of the Natural History Museum, London
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