サイエンス

2100年までに海面が1.35メートル上昇するという予測


気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2019年に「地球の海面は2100年までに1.1メートル上昇する」という予測を公開しました。しかし、コペンハーゲン大学ニールス・ボーア研究所で気候科学について研究するAslak Grinsted氏は、IPCCの予測に改善の余地があることを指摘し、「地球の海面は2100年までに1.35メートル上昇する」という新たな予測を公開しています。

OS - The transient sensitivity of sea level rise
https://os.copernicus.org/articles/17/181/2021/


Sea level rise could be worse than feared, warn researchers | Environment | The Guardian
https://www.theguardian.com/environment/2021/feb/02/sea-level-rise-could-be-worse-than-feared-warn-researchers

Grinsted氏の研究チームは、過去に観測・推測された海面の高さとIPCCが2013年に公開した「IPCC第5次評価報告書(AR5)」・2019年に公開した「IPCC特別報告書(SROCC)」で予測された海面の高さを比較するグラフを作成。グラフを見ると、青と赤の線で表されたAR5・SROCCによる海面上昇の予測が、過去に観測・推測された海面の高さを結んだ黒い実線を下回っていることが読み取れます。


さらに、研究チームは「温度の上昇が海面の上昇に与える影響の大きさ」を示す「TLSL」という指標を作成。「観測値(Observation)」「SROCCの予測値」「AR5の予測値」「過去の研究の予測値(Expert elicitation)」の4つのデータからTLSLを算出しました。その結果、IPCCが公開したSROCC・AR5は温度上昇が海面上昇に与える影響を低く見積もっていたことが明らかになりました。


研究チームは研究成果をIPCCに送付したとのこと。研究チームのJens Hesselbjerg Christensen氏は、「私たちの作成した新たな指標がIPCCによって採用され、さまざまなモデルに対して適用できるツールになることを願っています」と語っています。

なお、IPCCは2018年に「気候の急激かつ不可逆な変化を食い止めるには、気温の上昇を1.5度に留めなくてはならない」と提言しており、地球環境の悪化が後戻りできない転換点に差し掛かっていると警鐘を鳴らしています。

地球環境は「もう戻れないところ」にまで来てしまった可能性がある - GIGAZINE

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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