株取引アプリのRobinhoodが「株の購入を制限」したが売却は制限しなかった理由は一体なぜ?
株取引アプリの「Robinhood」は2021年1月28日、株価が5日間で3倍になったビデオゲーム販売チェーンのGameStopの取引を制限していましたが、ユーザーからの猛反発を受けて29日から取引を再開しました。この一時的な制限において、RobinhoodがGameStop株の購入を制限した一方で売却は制限しなかった理由を、IT系ニュースブログのstu2b50.devが解説しています。
Why Robinhood Disabled Buys but not Sells
https://stu2b50.dev/posts/why-robinhood-d3580b
Robinhoodは1月29日に公式ブログを更新し、GameStopを含む一部銘柄の取引制限に踏み切ったのは「株価の急変動により決済に必要な預託金が急騰したため」と説明しました。
GameStop株の取引制限について株取引アプリのRobinhoodが「株を買えないようにしたいわけではなかった」と釈明 - GIGAZINE
Robinhoodなどの証券会社が決済を行う際は、決済を行うために必要な処理を担うクリアリングハウスに預託金を納める必要がありますが、その額は株式市場のリスクによって左右されます。
以下は、その仕組みを簡単に表すためにstu2b50.devが作成した「95パーセンタイルの範囲の株価変動リスクを表した正規分布のグラフ」で、縦軸が確率、横軸がRobinhoodが抱えている正味の未決済ポジションを表しています。ここで重要なのは、緑の軸がここから右にずれればずれるほど、Robinhoodが預託金として用意しなければならない資金が増えるという点です。
そしてこれが、株を買いたい人が売りたい人を上回っている場合のグラフ。株を買うという注文が増えることによって、決済のためにRobinhoodが用意しなければならない金額も大きくなりました。
以下はさらに、株価の変動幅が大きくなった場合のグラフです。相場が不安定になったことで、必要になる金額はさらに増えていきます。
stu2b50.devはこの点から「株の買い注文はRobinhoodの資金繰りを悪化させ、売り注文は改善します。その結果、Robinhoodは預託金を用意できなくなり、株の購入を制限せざるを得なくなったのです。一方、株を売ることにはこの問題はありません」と述べて、Robinhoodが株の購入を制限した一方で売却は制限しなかった理由を説明しました。
なお、GameStop株の購入を制限した取引業者は以下。
・Robinhood
・Webull
・M1 Finance
・Public
・E-Trade
stu2b50.devは、2013年にサービスを開始したRobinhoodや2017年のWebullなど、新興フィンテック企業の多くがGameStop株の購入を制限した一方で、1971年創業のオンライン証券会社であるCharles Schwabなどの制限はごく軽微だったことを指摘。「今回GameStop株の購入を制限したのは、資本リソースが限られた新しい証券会社のようです」と述べました。
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