人はウソをつく間は「無意識のうちに相手の行動をまねてしまう」傾向があると判明
他人をだますために事実を偽る「ウソ」について、人はウソをつく際には「無意識のうちに相手の行動をまねてしまう」という傾向があるという研究結果が発表されました。研究チームはウソを見破るためには「ウソをついている当人だけでなく、ウソをつかれる相手の言動も重要になる可能性がある」と主張しています。
A liar and a copycat: nonverbal coordination increases with lie difficulty | Royal Society Open Science
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.200839
Liars found to coordinate body movements with the person they are lying to
https://phys.org/news/2021-01-liars-body-movements-person-lying.html
刑事事件に関する証言に含まれる偽証やスパイなどを見抜く必要があることから、「ウソに関する研究」が長い間行われてきました。その成果として、皮膚電気活動・呼吸・心拍数などから被験者が特定の事実について知っているかを調べるポリグラフやチオペンタールなどの自白剤も生まれましたが、ウソに関する既存の研究は「ウソをついている当人」に焦点を当てたものが主でした。
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イギリスのランカスター大学とオープン大学、オランダのエラスムス・ロッテルダム大学の合同研究チームが行った実験は、被験者にウソをつかせ、ウソをついている間の体の動きを分析するというもの。研究チームは、手首・頭・胴体に加速度計を取り付けた被験者に対し、「『簡単に解けるパズルです』と言いながら高難易度のパズルを与える」「パズルの答えをわざと置き忘れて被験者に見せ、『回答が見えてしまったことは内緒にしておいてください』と伝える」といった手法でウソをつくように誘導しました。
この誘導を受けた被験者にパズルの難易度などについて口頭で質問したところ、「ウソをついている際には質問者の身体的な動きをまねる」という傾向が被験者に見られたそうです。さらに、被験者がついたウソを「ウソをつく難易度」で分類したところ、ウソをつくのが困難であればあるほど、動きをまねる傾向がより強くなることが確認されました。
この結果について、研究チームは「ウソをつくという行為によって脳の認知領域のリソースが減った結果、自主的に体を動かすのではなく、他人の動きを模倣することが誘発される」と主張しています。
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